72.新世紀エヴァンゲリオンがどんな話なのか書いてみた。

新世紀エヴァンゲリオン (以降エヴァと呼ぶ)について語ることは難しい。

どうして難しいかというと、はっきりとした詳しい説明が作中でなされないからだ。そのためエヴァについて知らない人が「どんな話なの?」と聞いても作中の専門用語で説明されるか、「とにかく見てくれ!」と言われることが多かったのではないかと思われる。

 

また、作中できちんと詳しく説明されないためファン同士でも解釈が違ったり、イマイチ理解できていないため語れない場合が割と起きてしまう。

 

そんなわけでエヴァは語りにくい物語なのだ。

が、友だちとエヴァについて話す機会はもうなかなかないだろうし、わたしの解釈をここにメモすることでスムーズにお話しができるかもしれない。

 

というわけでここで書いていこうと決めたのだ。

 

警告】

本記事にはアニメ エヴァンゲリオンに関する重大なネタバレがある。またエヴァンゲリオンの作風上、ネタバレを読むことで作品の味わいが大きく損なわれる。

そのことを踏まえた上でそれでも良いという人だけが続きを読んで欲しい。

 

警告終わり。

 

エヴァには3種類ある。

①テレビシリーズ30分×26話

②劇場版 Air/まごころをきみに

③新劇場版シリーズ 「序」「破」「Q 」+「?」と4本の映画。まだ3本までしか公開されてない。

 

①と②は同じ世界の話。

①のラスト25、26話が難解な内容だったので②の映画で語りなおしを行なっている。

そのため①と②でお話は完結している。

 

③はゲームで言うリメイク。

すでに3つの映画が出ているが完結していない。

完結してないので「とりあえず映画の新劇場版見ればいいよ」と言えないところが恐ろしいところなのだ。

映画2作目のラスト付近から①②と違うお話になっているのでファンは早く続きが見たいと思っている。

 

という説明を駆け足で済ませたので、以降は「どんな話なの?」について語っていこう。

 

「どんな話なの?」

①のテレビ版から。

使徒と呼ばれる宇宙人に襲われている地球のお話。作品時間の15年前にも宇宙人が現れ、人口の半分が失われている。(一般人には宇宙人のことは秘密。彗星の衝突と発表されている)

人類は15年かけて復興し再度宇宙人が攻めて来た時の備えとしてロボットを作っている。このロボットのパイロットに選ばれた少年が主人公。父親はロボット基地の司令官。

主人公がロボットを操れる理由は、ロボットは15年前の宇宙人をクローニングすることで作っていることと、ロボットの起動実験中に主人公の母親が実験機に取り込まれたということで説明される。作中、ロボットには母親の意思が残っているかのような描写が何度かされる。

主人公の少年は父親と離れて生活していたので父親がロボットを作っていたことなどを知らない。基地に呼び出された日に丁度宇宙人が襲ってきたことと、周囲からの強烈な訴えかけや自分の代理パイロットの少女が大怪我していることなどから主人公は渋々ロボットに乗る。

乗っても初陣で負け(負けたら気絶してるうちにロボットが勝手に動いて宇宙人を倒した)さらには身内が戦闘の巻き添えになったクラスメートから責められたりと、いいことがない。

いいことがないなりにも頑張りで乗り続け、徐々に周囲から認められるようになり友人ができる。代理パイロットの少女や別のロボット(2号機)のパイロットと仲が深まり、厳しい戦闘を潜り抜けていく。

厳しい戦闘のバリエーションは多岐に渡り、どれもが手に汗握る展開となっている。

  • 他の組織が作った原子力を動力とするロボットが暴走して止める。(主人公と上司が決死の覚悟で止めるのだが、暴走は自分たちの組織が仕組んだものであると上司だけが気付き、苦々しく思う)
  • 活火山の溶岩内に、目覚める前の宇宙人を見つけて倒しに行く(2号機が相討ちになりかけるが主人公の機転で全員生存)
  • 仲の悪い組織に意趣返しされて街ごと停電。折り悪く来ていた宇宙人を倒すためパイロットは地上から電力なしで基地へ。基地メンバーはパイロットを信じて電力なしで準備する。合流成功して宇宙人を退治。
  • 粘菌のような宇宙人が本部コンピュータにハッキングを仕掛けてくる。スーパーハッカー軍団の本部のメンバーがウイルス駆除を行い宇宙人を退治する。

などなど。

この辺りまではスカッと爽快ロボットアクションの楽しさと、組織同士の抗争の一筋縄ではいかないビターな味わいがある。

その後、戦闘が激しさを増し、街は壊れ、人心は荒廃し、代理パイロットが戦闘で亡くなったり、2号機パイロットが精神を病んで失踪ののち入院するなど、主人公を取り巻く環境は厳しさを増す。そんな孤独に耐えかねている主人公に新しい出会いが訪れる。主人公は入院した2号機の新パイロットの少年とあっという間に親友同士となる。しかし少年の正体は最後の宇宙人であった。新パイロットの少年を殺したところで24話は終わる。25、26話は主人公や登場人物のモノローグだけが語られ、何か不吉なことが起きたような印象を受けつつも、最後に主人公が希望めいたことを言い、話が終わる。

 

果たして25話、26話を見たファンは激怒した。

賛否両論色々な意見があったが要するに「よくわかんなかったんで、何があったか教えてください」ということになり、そして②の映画が作られた。

 

②の映画のストーリーは以下の通り。

テレビ版24話で最後の宇宙人を退治した。主人公の少年が罪悪感でしょげかえっているところから物語は始まる。突如人間の軍隊に襲われる基地本部。基地の上部組織として暗躍していたゼーレという組織の差し金である。この作中では人類も宇宙人の一種であり、人類は群体タイプに進化したが、群体なので個々には欠けているものがあって心が寂しい。で、ゼーレはロボットと宇宙人の死骸と科学の力を使うことで人類を溶かして液体にして一つの液体生物にしようとする計画を持っていた。作中何度も「人類補完計画」と名前だけ出てきた陰謀がそれである。

(ゼーレ配下の軍隊はその目的を知らない)

対人設備がないのであっという間に基地は劣勢となる。2号機パイロットが復活して戦うも、ゼーレは量産型ロボットを出してきて敗北。主人公は上司や色々な人の協力でロボットに乗るも、あっさり量産型に捕まる。

主人公のロボットごと補完計画が始まり、世界中で液体化して行く人類。

しかし液体化の中心であるロボットの中にいた主人公が「他人と一緒になった安心感もいいけど、もう一度他人と出会う世界がいいな」と思ったため、全人類は元に戻る。

 

とまぁ大幅に端折ったが①のテレビ版②の映画版のストーリーはこんな感じである。

 

続いて③の新劇場版のストーリー。

 

新劇場版「序」

テレビシリーズの1〜6話までのストーリーを劇場版のクオリティでリメイクしたもの。すなわち宇宙人に襲われてる地球で、主人公が基地に呼び出されてロボットに乗り、派手な作戦で敵を倒すまでのお話。

細部の演出が異なる。また、テレビ版にはなかった海が赤くなっている描写(映画版の人類液状化のあとの世界を匂わせる)、ロボット登場前にロボットの戦闘の痕跡が山に残されているなど丁寧なリメイクプラス何かの仕掛けを感じさせるようになっている。

 

新劇場版「破」

テレビシリーズ19話までのリメイク、と思いきやテレビシリーズでも起きた痛ましい事件の被害者にメインの登場人物である2号機パイロットがなり、大きく物語の流れが変わることを予見させる。

事件の責任を感じてロボットに今後乗らない決意をする主人公。

その直後の戦闘でヒロインである代理パイロットが宇宙人にロボットごと食われる。主人公が激昂し、ロボットに乗り、ロボットが宇宙人を食べる。など壮絶なバトルの直後、状況が整理されないままお話が終わる。

 

 

新劇場版「Q」

これまでのエヴァでは描かれなかった物語。

主人公が目覚めると「破」の映画ラストから14年の月日が経っていた。(眠りについた主人公奪還作戦から映画は始まる)

主人公の上司をトップとする組織に組み込まれるが、ロボットには乗るなと言われる。そして敵はかつての自分たちの基地だと教えられる。納得いかないので口論してるうちに父親の組織の者が現れ、そっちについていく主人公。

父親は元居た基地に住んでいたがほかに人の気配がない。父親、父親の副官、代理パイロット(映画「破」のヒロイン)、謎の少年(テレビ版で最後の宇宙人だった少年)の四人しか基地にはおらず、様々なものがオートメーション化されている。食事は歯磨き粉のようなペースト状のものしかなく遠景で見る街の様子は文明が崩壊しているように見える。毎日機械から排出される着替えの服にかつての同級生の名札があったことから主人公は嫌な予感を感じる。

前作映画で仲良くなっていた代理パイロットと話をするが、命を助けたはずがまったく会話が噛み合わない。代理パイロットはクローン体で別の個体だったのだ。前作映画でのラストの頑張りが報われていなかったことにショックを受ける主人公。何か知ってそうな雰囲気の少年に今何がどうなっているのかを質問する。質問の結果、前作映画「破」のラストで主人公が乗ったロボットが宇宙人を食ったことで災害が起き、人類はとてつもないダメージを負ったことを示される。(ここよくわかりません。宇宙人が2種集まると爆発する性質がある、みたいな説明がぼんやりとあります。で、クローン宇宙人のロボットが宇宙人を食ったら2種混合になるので爆発が起きた、のような説明がされます)

 

また、基地の地下にある大きな宇宙人の死骸に刺さった槍を2本使うと、世界を元に戻せるとも伝えられる。

主人公はその計画に乗り、少年と共に地下へと降りる。地下に着くと少年が「あの槍はちょっと違うからやめよう」と言い出す。主人公は「キミがこの計画を言ったんじゃないか、最後までやるよ!」と槍にこだわって計画を実行しようとする。(無茶苦茶なハナシだと思うけど、本当にこういうハナシなんです)

 

槍を抜いたことで死んだと思った宇宙人の子分が復活。また、槍のチカラで大爆発の予兆が現れる。

そこに主人公の元上司の組織が計画を止めようと乱入する。戦闘の混乱の中、上司が主人公に仕掛けていた自爆装置が発動して、自爆装置を代わりに付けていた少年が死ぬ。

少年が死ぬことで槍はチカラを失い、大爆発は回避される。主人公の父親は最初から宇宙人の少年を排除する予定だった、のような描写がある。

 

その後、目の前で少年が死んだり、槍で元どおりになる計画がなくなったことで落ち込んでいる主人公を、元上司の部下である2号機パイロットが迎えに来る。

 

2号機パイロットと主人公、クローン体の代理パイロットという、テレビシリーズの主要メンバー3人で、元上司の待つ地点まで徒歩で旅する珍道中が始まる、というところで映画は終わる。

3作目の映画「Q」は語られていない14年間のこともあり、次の映画でそのあたりが語られるのかも、とファンは待ち続けているのである。

 

 

「どこが面白かったの?」

ストーリーについては語ったので、では何が面白かったのかを語る。

箇条書きにするとこんな感じ。

  1. 謎の多い世界とその謎解きが面白い。
  2. キャラクター、ロボットのカッコよさ。
  3. 過剰な暴力表現を含む戦闘描写がいい。
  4. 内向的で繊細な主人公への共感。

 

というところだと思う。

1の楽しさは格別で、わたしのこの記事を読んでしまうと自分で謎解きする楽しさが失われてしまう。ので冒頭にネタバレ注意をしつこく書いた。でもまぁこれを読んだ後に見ても楽しめるとは思います。答え合わせっぽい楽しみ方になってしまうかもですが。

 

2は1995年にはすごくカッコ良く見えたのだ。

今でもカッコいいと思う。ロボットにはデカくて怖いカッコ良さがある。

 

3もそう。全般的にエヴァの戦闘は怖い。怖いから面白い。

 

4は当時斬新だった。そして多くのファンが主人公のシンジくんに共感したのだ。

わたしは大学生の頃に「あ、わたしこんな人間関係へたで内向的ではないわ。へただけど違う種類のへたさだから共感するのは違うわ」となり、エヴァの基調である「人は傷つけあって分かり合えない(だから補完計画で解消するような大人が出て来る)」みたいな世界観が完全に他人事のハナシになった。

若いうちは物語から物語以上のことを学びとろうとしてしまうが、そういう時期が終わったのだろう。大学生になって一人暮らしをしたことで、なんか世の中結構いい加減で優しくて豊かだなという実感が湧いたことも大きいと思う。

 

ということで駆け足でエヴァについて語った。

興味がある人はとにかくアニメから見てもいいし、

 

すごく興味があるなら新劇場版「序」、新劇場版「破」、①テレビシリーズ、②旧劇場版、

③新劇場版「Q」の順で見ると良いだろう。

(最初に劇場版を見るのは絵のクオリティが高くてテンション上がるかもという配慮)

 

あとはわたしの解説が間違ってる、などのご意見も歓迎だ。なるべく一般的な用語で書いたので大幅に端折った自覚はあるが根本的な解釈違いなどがあったら教えていただきたい。

 

というところで今回はここまで。