『きみはメタルギアソリッドV:ファントムペインをプレイする』という短編がある。
短編集のタイトルにもなっているこの話は、アメリカに住むアフガニスタン移民二世の男の子が、大人気ゲームの『メタルギアソリッドV:ファントムペイン』というゲームをプレイする不思議な体験の物語だ。
ゲームの舞台は1984年の広大なアフガニスタン。少年は人質を救出するゲーム内のミッションをほったらかして、父親の生まれた村へと歩みを進める。そこには父親そっくりのNPCが居て……という風に話は進む。
父親はこの戦争中、ロシア兵に拷問され、後遺症で働けない身体になっている。言わばこの家族のつまづきの原点がここにあるかのような描写がされていて、ある種のタイムリープモノのような展開を見せるのだ。
全編に渡って「きみは〜」と二人称で書かれており、ゲームソフトを売ってくれたショップ店員の従兄弟が、マリファナをソフトと一緒に渡してきたことや、それを使ったこととも相まって、実際に起きているのか主人公の妄想なのかが曖昧な、マジックリアリズムの短編となっている。
さて、タイトルの元ネタ紹介が終わったので今回わたしが書きたいのは『アサシンクリード シャドウズ』のことだ。
このアサシンクリードはフランスのUBIソフトが作ったゲームシリーズで、簡単に世界観を説明すると以下のようなモノになる。
「歴史の陰には世界を牛耳ろうとするテンプル騎士団と呼ばれる闇の組織の暗躍があった。それに対するは正義のアサシン教団! プレイヤーのきみは暗殺で世界を救うのだ!」と。
大きな街とそこを軽快に走り回って壁をよじ登るパルクールアクションと、敵に見つからずに暗殺をこなすステルスアクションがウリのゲームだ。
街の作り込みが素晴らしく、例えばアサシンクリード2の舞台はルネッサンス期のイタリアなので「世界一安いイタリア旅行」などと言うキャッチコピーもあった。
フィレンツェ
ヴェネツィア
サン・ジミニャーノ
バチカン(ローマ)
おおお。聞くだけでやってみたくなる。
で、今回語るアサシンクリード シャドウズは信長の時代の近畿地方だ。
京都も大阪も奈良も、琵琶湖のある滋賀も含まれる。
なので、旅行で訪れたあの寺もあるかな? のような遊び方ができる。
昨今の流行りに乗ってオープンワールドが採用されており、目に映る場所にはたいてい行ける。天気も変わるし、なんと四季も移り変わる。
冬は雪が積もるし、秋は紅葉が素晴らしい。虫の声だけが無いのが惜しいな。もしかしたら現地取材しなかったのだろうか。
ドライブのようなことがしたいなら目的地を地図で設定して馬で道なりに走ってもらう、ということもできる。
世界一安い京都旅行! 戦国バージョン!
という感じだ。
この辺りの、観光映画ならぬ観光ゲームというジャンルについては、わたしは以前こちらのヨッシークラフトワールドの記事で書いた。
65.観光映画としてのゲーム - くだらないものを残そうとわたしはきめたのだ。
コーヒーを飲みながら、ほーーーっとゲーム画面眺めるのもよいだろう。
さてこのアサシンクリードシャドウズについて語るなら、炎上にも触れておかなければならないだろう。
このゲームは発売前のプロモーションが大炎上し、発売停止を求める署名まで起きていた。
炎上は悪い方向に影響し、アサシンクリードシャドウズは期待されたほどの売り上げを出せていない。
その炎上の中心にいたのは、アサクリシャドウズの二人の主人公のうちの一人。
弥助である。
弥助は海外でブームとなっていた。
そりゃ確かに、信長の家来だった元黒人奴隷って面白い。ロマンあるよね。なんでその時代に黒人が? え? 実際に史実でも記録残ってるの? マジかよ。というインパクトもあるし。
この弥助ブームは、日本で働いている一人の外国語科目の准教授が仕掛け人であることが最近明らかになった。
弥助ブームは、一本の論文と、その論文を元にしたフィクション、さらに当人によるWikipediaの編集や、英語圏でのメディア露出(英語圏と日本語圏で出す情報を巧みに使い分けた)ことによって引き起こされていた。
要するにウケて面白けりゃいいじゃん、の方向に歴史の書き換えが起きつつあったのだ。
アサクリシャドウズはこの弥助ブームに乗った。その結果、多くの人が弥助ブーム仕掛け人の所業に気付くきっかけとなった。
炎上については様々な人が当時取り上げたものの、実際にソフトが出てからは比較的落ち着いたように見える。
ソフトが出るまでは本当に大変だった。
炎上論点は簡単に以下3つ。
①日本を舞台にしてるのに主人公が黒人ってなんじゃい!
②黒人主人公に文句言ったら「炎上させてるヤツらは差別主義者!」とか社長が言うのは無敵論法やろ!
③「ワイら歴史の勉強して作ってまっせ!」とか言うけど、AI使って手抜きしとるせいで変なの作って素通しやんけ!
①、②で怒ってしまっている人に③が燃料投下しまくってしまい……というループが続いてしまったのだとわたしは思ってる。
とは言え、この炎上を機に、歴史修正的な動きが表沙汰になったのは良いことかなとわたしは思っている。
さて、炎上の話は終わり!
このあとはわたしのアサクリ京都旅行について写真と一言で語りたい。

戦で家族を失った男。基本的にゲームはこのような真面目なトーンである。
操作キャラはもう一人の主人公 女忍者の奈緒江。

チカラの抜けたサブクエストもあり、これは推しのフルーツ(スイカは野菜か?)を巡って戦っている人たち。
どちらかに加勢して決着をつけることができる。(鎖鎌で暴れて喉を切り裂くのだが、果たしてそれで彼らは納得するのだろうか?)

風景の美しさは文句なく素晴らしかった。
「おおー日本だ! こんなに手間暇かけて作ってくれてありがとう!」と素直に思う。

山からの景色はまさに日本の山林!といった感じで美しい。
オープンワールドなので、目に映るすべての場所に行けるのもすごい。
とは言え、山は視界が悪く、道を歩きたくなるが。

冬の地蔵。
道端の地蔵を拝むとバフ効果(笑)
寺では巻物拾って智力アップ!
神社では参拝箇所で拝んで智力アップ!
智力アップでスキルツリーのロックを解放だ。
という、没入感を削ぐ、緩い成長要素が用意されている。

ちょっと海外っぽさある美しい滝。

裸で武器持った村人と2ショット。おしりが光を反射している。
Xボタンで話す、ってUIが表示されてるけど話したくねーッ!

近い! 近いって!

町中で見かけたよくわからないモノ。かんぴょうを乾燥させてるのかな?


漁村でこんな風に魚を干していたが、多分これじゃ腐ってしまうと思う。

ゲーム内の事典モードは、各地巡ると充実していく。旅行先でパンフもらって読みこむみたいな良さがある。
でも信長は黒人マッチョをそばに置いて権威を高めたんじゃ無いと思うぜ……。

町中では犬や猫を撫でることもできる。

酒船石遺跡は作中でも重要な役割を果たす。
船の横の石にはアサシン教団のマーク(アサクリシリーズのマーク)がガッツリ掘られており「ワハハ! バカ陰謀論!」と笑ってしまった。
鍵を使うと船が横にズレて隠し階段登場! というトンデモ展開ににんまり。

金閣寺観光。

バチ当たりゲーマーなので、こんなところにも行く!
見晴らしの良い場所は、一度行くとファストトラベルポイントとなるので、バチ当たりもやむなし。

登る時はこんな感じ。
絶対怒られる!
海外の会社じゃないと作れないと思います!
ありがとう!

平等院鳳凰堂!
十円玉のデザインですね。

中の仏像はこんな感じ。
天井細かすぎでしょ!
頑張って作ったんだろうな……

柱と柱の間、欄間(らんま)と呼ばれる場所の彫刻。
表と裏で異なる絵になっているものは表裏異図(ひょうりいず)と呼ばれる。わたしは二条城で見たことある。
「今は作れる職人が居ない」となどと聞いたこともあり、こういうモノを3Dデータで作るのは、また格別の苦労があったと思う。
今ならAI使って写真からモデルに出せるのかも。だったら今後作れるようになるかもですね。

東大寺は鹿がいっぱい。
弥助の時代も鹿がいたのだろうか?
日本アドバイザーが「東大寺には鹿配置がマストです」とか言ったのかも知れない(笑)
焼き討ちを受けたらしくて大仏殿の前の門が壊れている。

東大寺の大仏殿は中に入れない。
取材スタッフが京都行った時、休館日だった説がわたしの中で強い。

東大寺の金剛力士像。
ちょっと顔違うか?
でもすごい迫力。
金剛力士像もう一体目。
3Dモデルを手づくりしてるなら「マジかよ! 左右でデザイン違うのかよ! めんどくさ!」と怒ったかもしれん。

東大寺の正倉院。歴史の資料集でも見たことあるヤツ。

ちょくちょくバグもあって、近所の噂話を聞く選択肢が、空の変数を指してしまうことがあった。(上の選択肢)
大規模開発って大変!

弥助で敵陣に正面から乗り込む。
弥助の武器の金棒には、相手のガードを弾く性質があり、レア武器のスキルで「こちらの攻撃が敵の攻撃で止まらない」というモノを手に入れて以降、近づいて連打してるだけであらゆる敵が倒れていった。それでいいのか?
もう一人の主人公ではステルスプレイを強いられるのだが、めんどくさくなったら弥助で強引にクリアできるので、ゲームがそんなに上手くない人でも大丈夫。
ところでわたしは弥助を、ある種の記憶喪失主人公のように使うのだろうな、と思っていた。
周囲の人々が「お前は知らないかも知れないが、これはこういうものさ」と日本文化を説明する会話が不自然にならないように作られたキャラなのかな、と。
炎上騒動を横目に「記憶喪失キャラメソッドのイロハも知らんやつがずいぶん燃やすやないけ」と思っていたのだ。
だが、実際にプレイしてそんなシーンはほとんどなかった。
茶会などのかなり専門的なシーンも、外国人向けの説明無しに普通に進めていく。
大人のドラマの作法だなーと感心したが、海外プレイヤーには意味不明な部分も多いのでは? と心配にはなった。
そろそろタイトル回収をして記事を終えよう。

こちらは東大寺から法隆寺までの、現代日本の地図。
東大寺→大和郡山→法隆寺という位置関係。

その地図を縮小した地図。上の水色は琵琶湖の南端。

今度は大阪まで範囲に含めた地図。

これはゲーム内の地図。
右上に東大寺と中央付近に郡山城。(大和郡山付近と思っていただければ)

大和郡山から左下の地図。
この辺りで法隆寺があるはずだが……無い。
奈良への旅行で最も印象に残った法隆寺は、このゲームの中に存在しない。
しばらく念入りに歩き回ったのだが……
清水寺、二条城、京都御所……
旅行で訪れた場所は大抵ゲーム内にあるのだが、法隆寺だけがなかった。
(時代背景的に二条城はこの時代にギリギリ建築前。だが、あった方が面白いからある。こういうバランス感覚は好きだ。)
現実に法隆寺がある場所付近には、ゲーム内のアジトがあり、アジトでは自由に施設を建築することができる。
「あ、ここが法隆寺なんだ……とっくに訪れていたのか……」
となったところで、わたしのアサシンクリードシャドウズはおしまい。
オープンワールドのゲームは、ストーリークリア後もどこでゲームを終えるかは曖昧になりがちなのだが、法隆寺を巡る旅は我ながら終わりを決めるのにちょうどいい気がした。
わたしはアサシンクリードシャドウズで法隆寺を訪れる。
確かに訪れた。
また気が向いたら来よう。
メタルギアソリッドV:ファントムペインの舞台で、今も痛みを放つ過去へと潜っていく幻想文学。
極端に文献の少ない史実上の人物についてのWikipediaを修正して、歴史改変と自分の書いたフィクションを売り込んだ人物。
ゲームの中で、現実に訪れた法隆寺を探して、結局は見つけられないわたし。
並べて見ると繋がってそうで繋がっていない、バラバラなことを考えた。
でもどう考えてもわたしの立ち位置が気楽でいいな(笑)
それじゃまたな! 弥助!
最後にわたしが訪れた法隆寺の写真を貼ってこの文章を閉じる。




追記!
アサクリシャドウズで撮ったスクショを貼っておきます。

冬の温泉街

秋の山中。美しい!

木との位置関係で色味も変わるし本当に頑張ってるのを感じます。

デッドバイデイライトコラボのクエスト!

装備を外すとふんどしになれることに気づいてしばらくふんどしで活動中。(なお戦闘中は装備できないので、ボコられる)
デートイベントもふんどし。

冬の茶畑

殺人事件を追うミッション中





























































































