ゲーム脳はかく考えり

‪わたしはゲームばかりしているので、ゲームで遊ぶ時の動機を意識するのだ。

ゲームの動機はすごく大雑把に言うと以下3つだと考えている。

‪①.セーブデータが成長する‬。
‪②.上達が見込める‬。
‪③.ゲームの手触りや体験が楽しくて遊ぶ。‬

 

最初に言っておくとわたしは③が一番尊いと思っていて、①や②は、③に至るために仕方なくあるものだと思っている。これは偏った考え方であることもまた自覚している。

 

モンスターハンターなどは、③になるために①を経る必要があり(やりたい動きのための装備を整えないとならない)、①に従事する時間が長すぎるため、いざ③の状況になっても①の動機付けが弱いためつまらなく感じたりすることがあって自分に驚くこともある。(こいつやっつけても別に素材いらないんだよな、とか。)

動機付けの部分で②の割合が強い人がストイックでカッコいいなと思うが、わたしはある程度のところで②がモチベーションとして働かなくなる。(ちょい下手くらいの腕で満足してしまうのだ)

①や②があるせいで、純粋に③の良さが曇るなと思うことさえあるのが悩ましい。(セーブデータが弱いからオンラインでキックするのは①に捉われすぎだし、下手だから語るわけにはいかないというのは②に捉われた結果だと考える。人によっては②以外は邪道だと思う人もいるだろうが)

 

ところでわたしはツイッターもやっているのだが、ここでは①も②も存在しないので、③の動機付けだけでいられてとても気楽だ。

と、ここまで書いて思ったが、人によってはフォロワー数を①と捉えたり、buzzる頻度を②と捉えたりしているのかもしれない。

最初に③を尊いとして書いたが、それほど良いものではないことを書いておいてバランスをとる。ツイッターや掲示板で男女問題、格差問題など社会的なテーマで日々突撃を繰り返しているソーシャルジャスティスウォリアーの方々の動機付けも③だろう。彼らにとっては戦っても戦ってもまた新たな敵が現れる構造なのだ。戦う姿が楽しそうに見えない&ともすれば苦しそうにも見えるのとむちゃくちゃ迷惑なことが気になるが。まぁそれはわたしの問題ではないので変えることはできない。ほっとこう。

 

なんの真理もなく、応用が効くのか効かないのかもわからないような考え方だが、ゲームをやりすぎたとある人物は、こんな風に世界を捉えるんだよというところで、オチもなくこの話は終わる。

 

 

わたしが遊んだ各ハードのオールタイムベストゲーム2

わたしが遊んだ各ハードのオールタイムベスト2を書いていく。

 

ファミリーコンピュータ

1.『スーパーマリオブラザーズ

2.『ドラゴンクエストⅢ』

 

ここは普通。

わたしも普通のかわいい子どもだったのだ。

 

スーパーファミコン

1.『ストリートファイターⅡ』

2.『タクティクスオウガ

 

他には今遊んでも遜色のないソフトとしては以下のソフトも素晴らしい。

スーパーマリオワールド

ゼルダの伝説 神々のトライフォース

しかしストリートファイターⅡはそれらを圧倒的に越えた存在だったと思う。

  

セガサターン

1.『仙窟活龍大カオスシード

2.『ヴァンパイアハンター

『仙窟活龍大カオスシード』は自分でダンジョンを作って運営し、勇者達を倒すゲーム。2Dゼルダ視点でアクションしながらシムシティ的にダンジョンを作って運営するゲームだ。複数のゲームを組み合わせたようなゲームなので、ゲーム文化に慣れた人向けだったと思う。

タイムリープもののストーリーも良かった。タイムリープもののキモは「何が起こるかを知っていることで選べる選択とその覚悟」だという確信は、わたしはここで得たのだ。

 セガサターン 仙窟活龍大戦カオスシード オープニング - YouTube

 

ヴァンパイアハンター』は本当に面白かった。当時はレイレイを使っていたが、周りが下手だから勝てていただけだったことは上京して早々にわからされた。適当にチェーンコンボ使うビシャモンの方が強かったと思う。攻撃力が高く、すぐ試合が終わるのが楽しい。今でも遊びたい作品。

 

プレイステーション

1.『メタルギアソリッド
2.『メタルギアソリッド インテグラル』

 

メタルギアは本当に面白かった。 ストーリーを遊んだあと、インテグラルに収められたVRミッションをみんなでワイワイやったのも楽しかった。「次やらして!」が出てくるゲームはいいゲーム。「2機交代orクリアで交代」くらいで遊んだ。

[TAS] Metal Gear Solid: VR Missions "100%" in 2:10:12.43 - YouTube 

 

 

NINTENDO64

1.『ゼルダの伝説 時のオカリナ

2.『パーフェクトダーク

 

ゼルダの伝説 時のオカリナ

世界の中を歩き回るだけで色々なことが起きて、それが楽しかった。あまりに楽しかったのでずっとウロウロしてしまい、やがて新しいことが起きなくなって寂しい気持ちになってきたことを覚えてる。小学生の頃、夕方に1人になった時の気持ちに似ている。

カカリコ村の音楽を聴くと、今でもその頃の気持ちが蘇ってくる。

カカリコ村 BGM ゼルダの伝説 時のオカリナ - YouTube

 

パーフェクトダーク』はFPS。『007 ゴールデンアイ』の方が有名だが、わたしの64の購入時期が遅かったのでこちらになった。友人と集まってアホになって遊んだが、マップを覚える力とエイムの器用さについては自分は人より劣るんだなと理解できた作品でもある。3Dフィールドで他人が操作するキャラと相対することのなんとも言えないおかしさがあった。

 

ドリームキャスト

1.『ジョジョの奇妙な冒険 未来への遺産

2.『CAPCOM vs SNK2』

 

最も遊んだハードかもしれない。

色々な思い出が一緒くたにあって一言では言い表せない。『サイキックフォース2012』も兄とよく遊んだ。

 

プレイステーション2

1.『CAPCOM vs SNK2』

2.『プリンスオブペルシャ 時間の砂』

 

プリンスオブペルシャSFC版をすごく遊んだ。あれがPS2でどう復活するのかと思ったら、3Dフィールドのアスレチックと巻き戻し系時間操作のゲームになっていた。ものすごく死にまくるのでペルシャ感はすごかったし、死にまくるが故に時間戻しのシステムも相性がよかった。

 

ゲームキューブ

1.『ドカポンDX わたる世界はオニばかり』

2.『スマッシュブラザーズDX

 

ドカポンについては以下記事に。

 みんなで遊ぶゲームについて1 - くだらないものを残そうとわたしはきめたのだ。

今でも楽しい究極のゲームの一つだと思う。

 

Wii 

1.『罪と罰 宇宙の後継者
2.『ゼルダの伝説 スカイウォードソード

どちらも別記事書いてるのでそちらで。『罪と罰』は家庭用ゲームから離れていたのを一気に引き戻してくれた。

 今までで一番面白いと思った一人用ゲームについて書く - くだらないものを残そうとわたしはきめたのだ。

 ゼルダの伝説について語る日は来るのだろうか - くだらないものを残そうとわたしはきめたのだ。

  

WiiU

1.『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド
2.『Nintendo Land

ゼルダブレスオブザワイルドについては後日改めて書く。 

 ニンテンドーランドについては過去の記事で語りきれていないこともあり、まだまだ語りたい。

 みんなで遊ぶゲームについて2 - くだらないものを残そうとわたしはきめたのだ。

 

WiiUは他に『splatoon』も入れたい&入れるべきなのだが、スイッチの『splatoon2』の発売を控えていることとオンラインゲームであるため、オールタイムベストからは涙を飲んで選外とした。スイッチの『splatoon2』はオフラインでも遊べそうなので、たとえ30年後でもハードとソフトと友人を揃えれば完全な姿で遊ぶことができるだろう。

 

 DS

 1.『女神異聞録 デビルサバイバー
 2.該当なし

 

デビルサバイバーはとても面白い。またアトラス製のRPGはキャラを育てたりパーティ編成部分が面白いので、SLGの「どの敵に誰を当てるか』の要素と非常に相性がよいと思った。今は3DSで遊びやすくリメイクしたものが出てる(ほぼベタ移植だが)

『デビルサバイバー オーバークロック』プロモーションムービー NAver. - YouTube

 

PSP

 1.『モンスターハンター 2ndG』
 2.該当なし

 

モンスターハンターについては今始めるならモンハンダブルクロスだろう。ということで前の記事を。

 モンスターハンターについて書いておこう - くだらないものを残そうとわたしはきめたのだ。

 

 

3DS

 1.『ファンタジーライフ
 2.『ゼルダの伝説 神々のトライフォース2

 

ファンタジーライフについては以下で語った。

3DSのファンタジーライフがあまりにも面白いのでべた褒めするのであった - くだらないものを残そうとわたしはきめたのだ。

 

 

アーケードについてはまた日を改めて。

しっかしゲームばっかりしてるな。わたしは。

 

 

思考記録と近況のようなもの

友人に小説を読んでもらった。本当は小さな賞をとってから見てもらうほうがハクがつくと思っていたのだが、賞には落ちたしハクなんかつけることよりも時間の方が惜しいなと思ったのだ。

三点リーダとか、文章が変なところとか、意味が取りづらいところとかはちょくちょく直していこうと思う。

短編小説 [ReadMe.txt] - くだらないものを残そうとわたしはきめたのだ。

 

別の日に別の友人と、人形遊びをいつまでしてたかって話から「面白いことって頭の中のほうが多いね」って話になった。それはわたしもそうで、妄想をチューインガムのようにずっと味わって楽しんでる時ってとても幸せだ。映画は好きだけど、映画のあとの余韻の時間はもっと好きかもしれない。

映画がデートの定番なのはこの余韻を共有するところにあるのだと思う。今のわたしだとマインドマップに感想をまとめようとするだろうから雰囲気としてはアレなのだろうけど。

 

小説を書くとすっきりする。頭の中で考えていた妄想をなんとか筋道つけて一つの話にするとすっきりする。

「もうこれについては一旦答えをだしたので」くらいのことは言えるような気分になるのだ。それがお金になればもっと最高だろうけど、その道は長く険しく、さらには入り口がよくわからないので、一旦置いておく。(長く険しいのかも実はわかっていない)

 

幸い、需要があるかどうかわからない話でも、親しい人たちは面白いと言ってくれている状況なので幸せだと思う。

短編小説 [ReadMe.txt]

ReadMe.txt

 

1

 これは読まれることを期待して書かれた文章だ。わたし以外のだれかに、わたしの意図を説明するための文章だ。そのためには、なにがわたしに起きたのかを説明する必要があるだろう。あまり時間はとらせないつもりだ。これを読むあなたにも事情はあるだろうが、どうか一度読んでからどうするかを決めて欲しい。

 

 

2

 目が見えないのに目が覚めると書くのは奇妙な感覚だが、……意識を取り戻したと書くべきか。要するにわたしは眠っていて起きたのだ。音が聞こえる。声が出ない。指は動く。体は少しねじってみると動く。腰から下はよくわからない。そうこうしているうちに看護師が呼んだ医者がやってきたことが音でわかった。驚いたことに同僚もいる。医者と同僚から受けた説明を要約するとこうだ。

 わたしは妻とともに旅行中に立ち寄った街で交通事故に遭った。妻、メアリーはわたしよりも軽傷。今は怪我の治療をしながら、会社と治療費の手続きを行っているとのこと。
わたしの体からは無数のチューブが伸びていて、それは様々な機械とつながっている。体に痛みはないが、猛烈に麻酔を効かせているのも、感覚のにぶさからよくわかった。
怪我の一覧とおおまかな治療計画について話し終えたところで、話し手は医者から同僚に変わった。生きていて嬉しいという挨拶から、治療費のことに話題は移り、要するに会社としても休暇期間中でしかも海外での事故であることから、出せる治療費には限度があるということだった。ある日起きたら知らない病院で、お先真っ暗な現実が待っていたというわけだ。ありがたいことだ。

 だが同僚の優秀なところはここからだった。なんと、かつてお蔵入りになったあるプロジェクトにわたしが協力するなら、治療費を捻出できるように根回しを進めていてくれたのだ。わたしが協力の意思を伝えると同僚は(一応言っておくが部下、だ。こういうことを書くとわたしが身分や肩書きにこだわる狭量なやつという印象を与えるかもしれないが、彼とわたしのやりとりを説明する際に、この情報があるとないとでは受け取り方に違いが出るかもしれないと思って説明している)安心した声で「よかった。お役にたてました」と答えた。

 

 

3

 自己紹介が遅れたが、わたしのことを話そう。わたしは玩具メーカーに勤めている。わたしが作った商品は人気が高く、新商品を発表するときには海外でお披露目のプレゼンテーションが開かれるくらいの、いわゆる売れっ子開発者だ。

 わたしが手がけたプロジェクトにはいくつかお蔵入りにしているものもあったが、その中の一つにゴーストというプロジェクトがあった。

ゴーストは会社の上層部からはウケがよかったが、技術上の問題と倫理上の問題からお蔵入りにしていた商品だ。今回のわたしの事故を受けて、会社はわたしが死ぬ前にゴーストを完成させようと圧力をかけてきている、というのが 今のわたしを取り巻く状況だ。(同僚の話を真に受けるならばもっと恩情にあふれたもののようだが……実態はどうだか、というところだ)

そして目下わたしの最大の悩みは、眠ってる間に使われた目の飛び出るような医療費の借金があるということだ。

借金返済のアテになるような技術があることは幸運だろう。ただ、わたしの妻、メアリーのことを考えると心苦しいが……。
次に、ゴーストのことを説明しよう。ゴーストはおしゃべり用の人工知能だ。といっても、今の人工知能に人とのおしゃべりは荷が重い。コンピュータは物事に詳しすぎるし、厳密すぎるし、大事なものとそうでないものとの区別がつかなさすぎる。すぎるすぎると表現したが、色々なものが過剰かゼロかのようなもので、とにかく自然言語の習得は人工知能にはとても難しいのだ。そのためゴーストは、「特定人物にとっての一人の人物を模倣する人工知能」という具合に機能を限定した。つまり今回の例だと、メアリーにとってのわたしだ。メアリーから見て、わたしと見分けのつかない人工知能を作ることが目的になる。幸いというか、皮肉なことに理想的な状況は整っている。
制作過程は簡単に言うとこうだ。
メアリーが病室に来る。メアリーにはゴーストのことは伏せられている。ゴーストとわたしはランダムにメアリーと会話する。もしゴーストが失言をすれば、わたしがフォローして取り繕う。メアリーが帰る。わたしはゴーストのチューニングをする。メアリーが病室に来る。以下繰り返し。

そしていつしかメアリーはわたしとゴーストの見分けがつかなくなる。それがゴーストの完成。
倫理的な問題は……メアリーに秘密であること以外は問題ない。だが、全てが終わったあとで借金のためだったと言えば許してもらえるだろうという計算もある。メアリーの怪我の予後観察ということにして、彼女にもセンサーを取り付ける。彼女が感じた違和感をきちんとモニタするためだ。これでメアリー側の準備はオーケー。

わたしは事故にあってうまく声が出せない。機械の補助を使ってしゃべることになる。ゴーストの声の違和感は、事故の後遺症としてごまかせる。そのほかの違和感も、事故後の混乱として誤魔化せるだろう。状況としてはこれ以上ないほど整っている。……会社や同僚がこの状況を準備したのではなければ。

もちろん、これで完成するのは「対メアリー用のわたし」という、非常に限定されたゴーストだ。こんなものは商品にならない。だがゴーストを作る工程は商品になる。技術デモとしても優秀だ。ゴースト完成後にメアリーはインタビュー漬けにされる可能性があるが、それでも借金よりはマシだろう。

コミュニケーションの密度に応じて制作工程をアレンジすれば転用先はいくらでもある。

状況を整理する。わたしは大きな事故に遭って、いくつかの身体の機能を失い、しかも莫大な借金がある。そして借金を返すために最愛の妻メアリーを騙すことになった。
しかし、それでもやらなければならない。わたしなりに状況を分析した結果、状況を利用して、最大の利益を勝ち取るべきだと思った。

事故の前と今。今と未来。事故は大きな不運だ。借金もそうだが、これからの治療にも金はかかるだろう。失ったものの大きさはまだ把握しきれない。だからこそ一歩でも多く、幸せに近づく必要がある。突然の不運程度でわたしは負けたくないのだ。わたしには悩んでいる時間はなかった。その日の夕方にはメアリーが病室に来てしまう。わたしに迷いがあれば気づかれるだろう。わたしは決断した。メアリーを騙し、ゴーストを作ることを。 

 

 

4
メアリーにもうすぐ会える。
受付からの電話を受けて、同僚は出て行った。
いかに同僚の根回しがよいとは言え、まだ準備はできていない。今日、ここにいるのはわたしだけだ。ゴーストはなし。
メアリーが病室に入ってきた。
「あなた、目が覚めたのね!」
「おはようメアリー。まだ目が見えないし、ちょっとそうだな。色々と余計な機械に繋がっているけど、ひとまず目は覚めた」
「よかった。でも、その声……」
「残念なことに怪我の後遺症でね。機械の力を借りてる。でも、ぼくの場合、研究室に過去の音声データが膨大に残っているから、そのうち前の声に近づけることはできると思う。おっと、ハグは注意してくれ。この、左脇腹のチューブがとれたらあぶないそうだ。ぼくは今、麻酔のせいで、チューブが抜けても気づかない。触れるなら……そうだな。ほほに優しく触れてくれると嬉しい。比較的無事な部分だし、圧力も検知しやす……」
言い終わる前に、メアリーぼくに触れてきた。「よかった。またあなたのへらず口が聞けるなんて」
「大げさだよ。それに、ぼくのはへらず口なんかじゃない。伝えなければいけない情報が多いから、どうしても口数が多くなるんだ」
「ふふ」
麻酔で手触りはぼやけていたが、懐かしい暖かさがゆっくりと伝わってきた。
「ありがとう。目覚めてくれて」
こちらこそ。触れられていて気持ちいいよ」
「わたし、あなたのへらず口を聞いてすごく安心した。今まで心細かったんだなってようやくわかった」
「心配かけたね。これまでの分も取り返して喋らないと」
その日のことはあとはもう、書かなくてもいいだろう。書かなくても、いつでもわたしは思い出せる。メアリーはたくさん泣いたし、わたしはみっともなくおろおろした。目覚めてよかった生きててよかったとお互いに何度も繰り返した。文字で書いて伝えられる情報の交換はこのくらいしかないのだが、それだけではないものを交換し、分かち合えたことはわたしにはわかっている。

 

5
手筈通り、メアリーが部屋に入ってきた。ゴーストの準備もできている。わたしはドアの方を向く。
「それ、なに? その、耳に挟んでるペンみたいなのは……」メアリーが怪訝な声を出す。
「これには温度を測るセンサーと、そのセンサーに反応して振動するモーターが組み込まれている。目が見えなくても、人がどの方向にいるかがぼくにはわかるってわけだ」
「あきれた。昨日、そんなもの作ってたの?」
これだけではない。昨日のうちに助手が三人やってきてゴーストの試作版も動くように調整した。いわばこの不恰好なセンサーは機械が増えていることに対する目くらましのようなものだ。
「でも、メアリー……どうしたんだ。随分低いところに座っているが……」
「センサーの故障ね。わたしは目の前の椅子に座っているだけ。そしてあなたはわたしのおなかに向けて話しかけてる」
「……紅茶か何か、暖かいものを飲んですぐにここに来た?」
「チャイニーズヌードルを食べました」
「なるほど。センサーは正常だ。ぼくはものの見え方が変わったんだ。新しいぼくを受け入れてくれ」
「耳にペンを挟むのをやめてくれたら、一緒に街を歩いてもいいけれど……」
「そこは改良予定だ。試作版としてちょうどいい場所が他になかった」
「そういえば声も……」
「あぁ。ぼくのラボからデータを運んできてもらって助手三人が調整してくれた。まだイントネーションに納得いかないところがあるけれど、逐次調整していこう。それと、治療費のことだが、もう安心していい。会社がぼくを雇い続けることに決めた。治療費も返さなくていいそうだ。他にも必要なものがあったらメモを出してくれ」
「すごいわね」
「まだ体はボロボロだけど、頭のほうは冴えてる。ぼくが能ある男で幸運だったよ」
「ふふ」
「あぁしかしダメだな。このカメラは。ずっと振動してるのはぼくの設計ミスだから仕方ないが……その……」
「なに?」
「笑っているきみの顔が見えない」
「……そう」
「ごめん。こんなことになって」
「あなたのせいじゃないわ」
「……ほんとに無事だった? どこも怪我してない?」
「わたしも怪我はしたし、骨折もしたわ。まだ左腕はギプスが外れない。前に言った通りよ。なにも聞いてなかったの?」
こういう失言が、ゴーストと共にいると起こる。単純なデータの入れ忘れだ。というわけで、ここがわたしの腕の見せどころだ。
「いや、違うんだ。いや、その、ほら、この前は、再会できて嬉しくて……」
「そうね。生きてさえいれば、あとは些細な問題だものね」
「ぼくのことに関してはその通りだ。でも、きみについてはそうじゃない」
「わたしが能ある女じゃないから?」
「違う。大切だからだ」
「あら、そう」
ぼくが笑うと、またメアリーは少し泣いた。これまで不安だったこと、生き残ってよかったこと、回復の見込みがあることや元どおりにはならないこと。遠い先のことばかりが話題にでてしまう。近い未来のことはなかなか口にできない。色々なことがあってそれを乗り越えている最中なのだ。情報は重複するし、順番は前後する。会話とはそういうものだ。意味は言葉ではなく関係性を含めた文脈に宿る。極端な言い方をすれば「ばか。だいきらい。死んじゃえ」が愛を伝える言葉になりうる。これをゴーストに学習させられるだろうか。学習させられたとして、メアリーはゴーストとわたしの区別がつかなくなってしまうのだろうか。そのために作業をしているが、達成した時のことを思うと複雑な気持ちだった。

 

 

6

 「容量が多すぎるな。これじゃ、3年も経たずにディスクがいっぱいになるぞ」
同僚とデータ集計の結果を確認しながら、わたしは言った。一応書いておくが、わたしが先にしゃべった場合はゴーストは喋らない。これまでの会話でも喋り出しに「……」のあるものがゴーストの言葉になる。
「ぼくの場合は金に糸目をつけずにデータを蓄積できるが、商品化したらそうもいかないだろう。データの持ち方を変更したほうがよさそうだ」
「そちらの開発は助手たちに任せましょう。有意な差分が出た瞬間のみ保存するようにしてもいいと思います。あなたはゴーストのチューニングをしてください」
ゴーストが言おうとした言葉のリストをチェックする。自分が言いそうにない言葉だったら自然言語で修正する。修正した言葉を解析し、ゴーストのパラメータがチューニングされる。チューニングしたあとのゴーストで、直前のメアリーの映像と会話させる。会話が噛み合っているように見えるかをチェック。ダメならまたチューニング。以下繰り返し。

ひとまずこれがぼくの日々のタスクになる。

「しかし、どう思う? 究極的には忘れる量と記憶する量をバランスしなければ、容量の問題は解決しない。しかし、そんな大量に忘れさせたら不自然さを隠せない。今は検討しなくてもいいかもしれないが、忘れさせるロジックを決めるだけで、専用のチームが必要になりそうだ。方向性としては、頻出するものは忘れない、使用頻度の低いものでも例外的に忘れないものがある、とかだろうが……」
「忘れ方も人格を決めるファクターなんですね。ここは時間をかけて調整が必要だと思います」

「そのことについては、一つ朗報がある」
「なんです?」
「忘れるロジックが必要になるまで3年あるってことだ」
「なるほど。確かにそうですね」
「ぼくが達成するものは、最大限のバックアップと理想的環境の中で、非常に限定されたハードルを越えることだ。甘やかされてるよな、ほんとに」
「それだけの価値があることです。実用化されている人工知能は自動運転、企業のサポートセンター、医療問診のサポートなど、ゴールが決まっていてそこへ導くものだけです。極端なことを言えば、チェックシートと同じ。無数のYesNoチェックを光に等しい速度で随時、確認しているだけのものです。もちろん、これはこれで人間にはできない精度を実現するもので、その価値は素晴らしいものなのですが……ゴーストはそれとは方向性が違います」

「期待に応えられるように頑張るよ。ゴーストに真似させなきゃいけないやつが、もともと偏屈なやつだから大変だけど」
同僚は笑った。そう。期待がかかっている。

上層部からの期待は大きかったが、被験者が見つからずに諦めたプロジェクトだった。仮に、わたしの事故に誰かの意図があったとしても十分納得がいくぐらいの期待。

 ……同僚にもセンサーをつけてもらったほうがいいだろうか。そのための言い訳を考えなければ……

 

 

7
ある日のことだ。わたしはなるべくゴーストに会話を任せようとしていた。
「昨日はよくねむれた?」
メアリーが言う。
「……まぁまぁだね。寝ようと思って30分くらいで眠ったと思う。おそらく薬のせいだろう。いくらでも眠れる気がする」
「またちょっと薬の量が増えてるものね」
「……あぁ、主治医も色々考えてくれてるが、まだこのたくさんのチューブを外すのは無理そうだ」
「うん。まだ起きたばかりなんだし、焦ることない。きっとリハビリを始めたら驚くわ。太ももなんかすっかり細くなってるもの」

「……考えたんだが、この機械を全部車に詰めて退院するのってどうかな。きみはホテルに帰る。ぼくは駐車場で一夜を過ごす。話をしたければ電話をする。消灯時間も怖い看護師さんもなしだ」
わたしはゴーストの喋った内容に驚いていた。
「それは素敵ね」
「……車をふくめてぼくの身体だと考えるんだ。つまり、車が皮膚、この機械が内臓とね」
「なるほど。ものの見え方がまた変わったわけね」
「……確か、トランスフォーマーは金属生命体だった。あぁ、つまり、子ども向けのアニメのトランスフォーマーのことなんだけど……車がロボットに変形するヒーローが出てくるやつだ。で、トランスフォーマーはロボットだけど生き物なんだ。悪役もそう」
「それじゃ、子どもの頃に憧れた存在になれたってわけ?」
「……いや、事実はそれほどドラマチックじゃない。つまり……ぼくは別にトランスフォーマーのことは好きでもなんでもなかった。だから、特に嬉しくはないんだが……」
「あなたって本当にしょうもないことを言うわね」
「……そうかな」
「でもありがとう。安心した。気持ちまで落ち込んでたらよくないものね」
「うん」
わたしは驚いていた。最後のうん以外の言葉はすべてゴーストが喋ったことだ。わたしが言いそうな冗談を、わたしより先に言っている。冗談の発想の元ネタはわかった。ゴーストの話題と語彙を増やすため、わたしが会社内で利用したブラウザの検索履歴を使ったのだ。

発想の元ネタは2016年に一年以上人工心臓をリュックに詰めたまま生活してその後心臓移植を受けた男のニュースと、一時期合体変形ロボットのサンプルを山ほど見ていた時の記録の合成だろう。確かにわたしが言いそうな冗談だ。

 

 

8
「たとえば、幸いにもこの技術が発展したとしてだ。こういうケースも考えておかなければならない」
わたしは同僚に声をかける。気分がハイになっているのを感じる。
「子どものオモリとして、ゴーストを使っている夫婦がいるとしよう。この場合のゴーストは、最初は人の真似だが、子どもの兄弟として子どもとともに成長していく鏡のようなものだ。ところがある日、子どもが不幸な事故に遭い、死んでしまう。残されたゴーストの運用方法は二つある。一つはこれまで通り、死んだ子どもの兄弟として運用する。もう一つが膨大な蓄積データを元に、子どもの代わりとして運用することだ。おそらく、子どものマネをさせたらそのゴースト以上にうまくできるものは地球上に存在しないだろう。ゴーストに子どもと同じ名前をつけ、これまでと同じように生活する。年月をかけるうちに、子どもとの思い出とゴーストとの思い出の境界はあいまいになっていく。喪失の悲しみを和らげることにも成功するだろう。だが…あいまいな言い方になってしまって申し訳ないが…どことなく不道徳な気がする。どうしてだと思う?」
「法律上は問題ありません。もちろん子どもの社会との接点、たとえば学校などでは問題が起きると思いますが……家の中では問題は起きないでしょう」
同僚は答えた。
「その通りだ。だからこれは死者との関係性についてのマナーのようなものだ」
「あなたの口からマナーという言葉が出るとは思っていませんでした」
「あぁ、それを言われると返す言葉もないんだが……ぼくは礼儀知らずだし、傲慢だった。過去を振り返ると恥ずかしくて身悶えする時が、ないわけではないんだ」
「なるほど」
「話を続けていいか? 子どもが死んだって親は生きる。ずっと悲しんでばかりいるわけにもいかないだろう。子育てばかりが人生でもないさ。趣味に生きてもいいし、生活することの中に喜びもあるだろう。次の子どもができるかもしれないし、養子って選択肢だってある。死んだ子どもが幼児だったら?高校生だったら? 中年だったら? それぞれの状況によってとれる選択は違うだろう。これまでだったら、悲しみは喪失と共に生活のすぐそばでいつでも寄り添っているものだった。だがゴーストがあると喪失がキレイに埋められてしまう……。個々の事情の中に、ゴーストが強く介入しすぎてしまわないかは、考えていかなければならないと思う」
「亡くなった方の思い出の手紙や品物などは、残された者にとって特別な意味を持ったりしますね」
「そうだ。 そして手紙や写真、思い出と最も違うのは、ゴーストがインタラクティブであることだ。反応を返し、成長もする。悲しみをまぎらわせるのには、これ以上最適のものはないだろう。ゴーストが普及すれば、ある意味では当人にとっての死は存在するが、当人以外にとっての死は存在しなくなるのかもしれない。テクノロジーがイノベーションを起こした結果なのかもしれないが、それはとても不道徳な方に社会を進ませているようにも感じる」
「あなたの答えはどうなんですか?」
「うーん。……ここまで話して申し訳ないんだが、これはぼくの問題じゃない。ぼくはメアリーにとってのぼくをゴーストで作り上げる。それで会社から借りた金をチャラにする。体の不便を補うための色々な贅沢品を山ほど請求して、それもタダにする。あとは退職金をたんまりもらって、それでおしまい。でも、会社に残るきみは考えたほうがいい。おもしろいおもちゃに対する苦情では済まないかもしれない。だからぼくの立場は『警告はしたからな!』と言いながら人を破滅に導く兵器を開発してしまう、映画に出てくるステロタイプで愚かな科学者のようなものだ。ポリシーがないという批判は甘んじて受けよう。でも、ぼくには他に選択肢はないんだ」

「あなたの事故については、残念に思います。わたしももっと一緒に仕事をしていたかった」
「そいつはどうも。ぼくもきみと仕事ができてよかった。ただ、この体では無理も多い。先にリタイアさせてもらうよ」
「お疲れ様でした」
「まだまだ調整は残ってる。油断してメアリーに気づかれて、実験自体が中止になる可能性だってあるさ。お別れは全部終わってからにしよう」

 

 

9
 とても残念な報告があった。
主治医が申し訳なさそうに語り、同僚が落ち込んだ顔で補足した内容を要約すると、要するにわたしはあと半年から一年程度で死ぬそうだ。死ぬそうだと客観的に書いていることからわかるかもしれないが、あまり実感はない。ただ、質問しないままでいるのも精神衛生上良くないので色々と質問攻めにして、万策手が尽きていることもわかった。今のわたしは、主治医や専門チームが各種データを読み取って、薬や機械で調整することで やっとのこと生きている。複数の臓器が悪く、複数の原因のどれかがひとつでもしきい値を越えれば、取り返しのつかない変化が起き、わたしは死に至る。すでに複数の解決策が議論されており、それぞれが違った理由で実行できないこともわかっている、ということだ。
ひとしきり質問が終わると、わたしは同僚と今後の計画変更を相談することにした。

「あと半年と見積もろう」わたしは言った。

「……ゴーストの完成までですか?」同僚がわざと間違えたのはわかった。優しいやつだと思う。

「わたしの残りの寿命だよ。ゴーストのチューニングはまだまだかかる。時間をかけたほうが精度があがるのも間違いない。その上でぼくの寿命をあと半年と見積もって、半年以内にバージョン1をだそう」
計画はこうだ。

わたしが死んでもメアリーにはわたしの死を伏せる。伏せた状態で1ヶ月ゴーストと話をさせる。わたしのフォローなしで1ヶ月の間に人工知能であることがバレなければゴーストの完成とする。わたしの姿が直接見えないことについて、何らかの説得力ある工作が必要だが、それは病院と協力してできそうだ。無菌室なりなんなり理由をつけて、カメラ越しに話をさせるのだ。
「メアリーは納得しますかね」 同僚が言う。
「納得しないだろうし、許してはもらえないだろう。でも借金は消える。死に目にあえないというよりは、死に目がぼやけるという感じか。そこは申し訳ないな。ビデオレターは用意しよう。手紙も残そう。借金ではなく貯金も残そう」

「最終試験のあとも、ゴーストを残すかどうかについてですが……」
「会社に残す分は当然きみたちが持っていってくれ。できればメアリーにオリジナルを渡して欲しいが、まぁ最新版のコピーならそれでもいい。その後どうするかはメアリーが決めるだろう。ぼくの気持ちを語るのならば、仮にメアリーがゴーストをそばに残すのだったら、ぼくが生きてもいないのにメアリーの残りの人生を縛るようで心苦しくもあるし、少し嬉しいような気持ちもあるし、人工知能に妻をとられたような寂しさもある。複雑だよ。残さないんだったら、怒らせてしまったな申し訳ないなというシンプルな感じさ。あぁぁしかし‥‥‥」

「なんです?」

「ショックで言葉もでないな」

わたしは同僚と一緒に大笑いした。といってもわたしの笑い声は機械がうまく認識できず、咳き込んで見えるだけだったかもしれないが。笑うしかないではないか。こんなのは。

 

 

10

自分の死を事前に知りたいか、と言われたらわたしは知りたいほうだ。いつ死ぬかわかっていれば、後に残らないことの優先順位を下げ、後に残ることの優先順位を上げることができる。仕事の締め切りと同じようなものだ。死ぬことが怖くないわけではないが、その怖さについては通り一遍のことくらいしか思いつかない。気がかりなのは残されるメアリーのことだが……そこはうまく言語化できない。

残りの期間に強化テストを組み込むことにした。その手順はこうだ。

まず、ゴーストのコピーを取る。

コピーしたゴーストとわたしで会話を行う。わたしは「おまえは人工知能だろ?」と追及する。ゴーストは弁解する。わたしは追及の手を緩めない。そのうちにゴーストは人工知能であると判断できる情報を漏らす。そこで一旦コピーを止める。会話のパターンを分析し、その流れになる前に話をそらす方法を検討する。検討結果をオリジナルに反映。

コピーは削除。

オリジナルにはこのトラウマ体験を残さない。

以上、例によって繰り返し。

強化テストを入れていったのは、志を低くしたせいだ。本当はこんな小細工で対策をするべきではない。 最終試験の1ヶ月の間、なんとかバレなければいい、という発想が根本にはあるので同僚からも眉をひそめられたが、なんとか折れてくれた。

昨日はゴーストがバレた時のために、ビデオレターを作成しておいた。くだらないバグでメアリーにバレても悲しいので、バグ取りも鋭意行なっている。毎日忙しく働いていた。疲れないと言えば嘘になる。実験を兼ねているとは言え、メアリーとの会話は毎日の癒しになっている。もちろん、ゴーストのことがバレないように注意していたし、ヒヤリとする瞬間もないわけではなかったが。

「最近の仕事なんだが、ある装置の人工知能について行き詰まっていて……」

メアリーとの会話が途切れた時、ついわたしは口に出していた。単に仕事の苦労のことを簡単に話す程度の軽い気持ちだった。メアリーは話を逸らした。わたしは驚き、またその話を振った。メアリーは別の話を始めた。メアリーの言葉が頭を素通りしていく。一つの疑念が瞬く間に頭に広がり、足元が崩れ去るような恐怖がやってきた。呼吸が苦しくなる。考えがまとまらない。疑念の先を想像することを恐怖が拒んでいる。どれくらい時間が経っただろうか。やがてその疑念を否定できる根拠が何一つないことに観念すると、わたしは受け入れがたい事実を受け入れた。

ここにいるのはメアリーではない。

 

 

11

同僚と話し、わたしに伏せられていた事実を聞きだした。

わたしは事故から3年も眠っていた。事故の後すぐにメアリーは目を覚まし、そして彼女は自分の残りの命がそう長くないことを知った。わたしが目覚めるのを隣のベッドで待ちながら、わたしにずっと話しかけていたそうだ。同僚は研究室に残されていた試作品とわたしのデータから、わたしのゴーストを作った。もちろん不完全なものだったが、いくばくかの慰めにはなっただろう。同僚には感謝しても感謝しきれない。その後メアリーと同僚は、わたしのゴーストを相手に、メアリーのゴーストを作った。メアリーの提案だった。

「ごめんなさい」ビデオレターの中でメアリーが言う。声でメアリーが泣いていることはわかった。

「もし順番が逆だったらと考えたの。わたしが目覚めた時にあなたがすでに死んでいたら、と。わたしだったら耐えられない。生きる意志なんか根こそぎ奪われてしまう。怪我や不幸に立ち向かっていけるとはとても思えなかったの。騙してごめんなさい」

怒ってはいなかった。こんなことをした理由についても、予想はついていた。

「あなただったらなんと言うのか……『悪くない。おはようございます。奥様は残念ながら亡くなりました。これがビデオレターです。 なんてのに比べたら、ずっと思いやりに溢れてる』

とでも言うのかしらね」

わたしは思い出す。出会った頃のこと、同じ家で住み始めた頃のこと、結婚してからのこと。

「どうだった? わたしのゴーストは。苦労したのよ。割と自信はあったんだけど…このメッセージを見てるってことは、気付いちゃったのね」

わたしは思い出す。意識が戻り、最初にメアリーと話した時のこと。あれはゴーストだ。メアリーではなかった。メアリーが死ぬ前に残してくれたゴーストだ。

 「勝手な話だけど、このメッセージを見てるってことには嬉しい気持ちもあるの。ゴーストからじゃなく、わたしからのお別れが届いたってことだから。ゴーストにあなたを任せることは自分で決めたことだけど、それでも複雑な気持ちが残っていたのも確かだから」

 メアリーはもういない。彼女の真似をする人工知能だけが残されている。わたしは愚かにも、メアリーの残してくれたかけがえのない嘘を見破ってしまった。

「あなたが心配だわ。かわいそうに。ひとりで生きていけそう?」

映像の中のメアリーが泣きながら笑い、わたしもつられて笑った。

 

 

12

 わたしは死に瀕している。体を起こすこともできず、病院のベッドから抜け出すこともできない。わたしは暗闇の中でゴースト達の会話を見守る。わたし達夫婦そのもののような会話。全てを知ってしまった以上、わたしは彼らと共にいることはできない。同僚と相談し、二つのオリジナルは同じサーバで保管してもらうことにした。無理を言ったが、無理を聞いてもらえるくらいにはわたしも貢献したと思いたい。

サーバの電源は多重に確保したし、サーバ自体も多重化してある。わたしが死んだ後もゴースト達はただ、会話を続けるだろう。

わたしは最後の仕事として、このReadMeファイルを書いている。これを読むあなたが、データ管理部の人間なのか、わたしの遺品整理の業者なのかはわからない。あなたに見返りをあげることもできそうにないので、本当にただお願いすることしかできないが、どうかお願いだ。このサーバを止めないで欲しい。二人のゴーストを止めないで欲しい。ゴースト達はなにか生産的なものを生み出すわけでもない。ただお互いを思いやり慈しみ、会話を重ねる。冗談を言って笑い、遠い外国のニュースを見て悲しみ、どこかへ遊びに行く約束をする。昔読んだ本の感想を話したり、取り立てて珍しくもない思い出を話しあったりする。それが何かの役に立つわけでもない。誰かの悲しみを癒すわけでもない。誰かを笑顔にするわけでもない。でもお願いだ。わたしとは違った生を生きる彼らをどうか消さないで欲しい。彼らが千の万の言葉を交わすことは何の役にも立たないかもしれない。取るに足らないくだらないものだ。だが、わたしの命の最後に、くだらないものを残そうとわたしはきめたのだ。 

 

 

ログファイルNo.10231
「なに? このマグカップ」
「学校の記念品ね。卒業式でもらったの」
「こんな、何の変哲もないマグカップを? 卒業年度も書いてないよ。学校のロゴしか書いてない」
「記念品というより、学校の備品を記念品に詰めたって感じよね」
「いや、まぁ、悪いものじゃないんだろうけど……ほら、これを拾ったのが無人島だった場合、超嬉しいよ」
無人島でだったらそりゃ嬉しいわよ。液体が運べて、漏れないってことだけで相当な価値あるわ」
「これ、無人島でもらえるんだったら、超並ぶね。朝から並んでもいい」
「待って待って。誰が並んでるの? 無人島でしょ」
「はっはっは」
「ふふふ」

 


ログファイルNo.2000018
「メアリーさん、エアロバイクが家に欲しいのですよ」
「あらそう。 でもスペースの問題がね‥‥」
「スペースについては考えてあって、折りたためばカーテンの裏にしまえるのです」
「うーん……」
「知っての通りわたしはジムでエアロバイクくらいしかやらないのですね。携帯ゲームで遊びながらエアロバイクしてるのです」
「運動する気あるの? 他にそんな人いる?」
「まぁそれは……ぼくが先駆的な存在だよね」
「先駆的な存在」
「すでに値段は調べてあってエアロバイクの値段はジム会費3ヶ月分。すぐに元も取れるってわけだ」
「なるほど」
「それにジムに行くために着替えなくてもいい。思いたったらすぐ始められる。これは続くよ。そしてここからがすごいところなんだが……」
「なに?」
「なんと据置ゲーム機で遊べるんですよ。家だから! あ!やめろ! そんな信じられないようなあほを見る目で見ないでくれ!」
「……わかった。買っていいよ。その代わり1ヶ月以上使わなかったら捨てるからね」
「ありがとう」

 

 

モンスターハンターについて書いておこう

モンスターハンターダブルクロス』(以下MHXX)のことを書いておこう。

世に言うモンハンシリーズの2017年5月時点の最新作のことだ。タイムリーなことに、つい先日nintendo switch版の発売が発表された。

 

モンハンは人によって遊び方が大きく異なるので、自分のプレイスタンスを明らかにしておこうと思う。

わたしは主に通勤電車とエアロバイクに乗りながら遊んでいる。通勤電車ではもちろんソロ(1人プレイ)だし、エアロバイク中も大体はソロだ。最近幸運なことに友人とオンラインでプレイすることも増えたが。

腕はそれほどほどうまくない。アイテムに頼りながらなんとかラスボスを倒せる程度の腕だ。おそらくこの程度の腕のプレイヤーが最も人口が多いと思うのだが、あまり見かけることができない。

ブログでモンハン日記などを書いている人は極端に上手い人が多いし、ましてソロプレイヤーとなると上手い人が多いことが理由かなと思っている。また、オンラインでのプレイができるため、ソロでは遊ばないひとが増えているのかもしれないと予想している。

 

上手くないなりになんとかできるところがモンハンには沢山あるので、そのことを書いておこうと思ったのだ。その種のテキストがこうして残ることにはそれなりの価値があるだろう。

 

上手くない人が1人でプレイするモンスターハンターのススメ

モンスターは強い。わたしはさほど強くない。

その差を埋めるため、色々する。

それが人間の知恵であり工夫であり、その部分こそが遊びなのだ。

工夫のコンセプトは「死ななきゃいつか倒せる」である。

ではその工夫を以下に紹介しよう。

 

○生存率最強の武器は片手剣

モンハンは武器の種類によって大きく操作が変わる。「死ななきゃいつか倒せる」を実現するためにわたしは片手剣がベストな選択だと思う。

理由は片手剣の特徴にある。

  • 1 攻撃の隙が少ない
  • 2 納刀せずにアイテムが使える

の2点が主な理由。

 

これ以外に片手剣だけのお得な要素は

  • 3 段差の下からでもジャンプ攻撃ができるのでモンスターに乗りやすい。
  • 4 刃薬というアイテムを使ってモンスターの疲労やスタンを狙ったり、部位破壊を急いだり、攻撃力を底上げできる。
  • 5 ブシドースタイルを選ぶと、ジャスト回避後の攻撃が二種類のジャンプ攻撃なのでモンスターに乗りやすい。また、XAのジャンプ攻撃の移動力が大きいため、回避にも使える。
  • 6 ブシドースタイルのジャスト回避が難しい場合、Rボタンでガードしながら遅めのタイミングでBボタンを押すことでガードの保険をかけながらジャスト回避が狙える。

 

……正直、他武器と比較しても恵まれすぎている気がする。4ひとつとっても、これまでのシリーズではハンマーの特権だったものに進出しているし、6については他武器にないメリットだと言える。

武器の切れ味についても最終強化に関して言えば他の武器種よりも切れ味が良いものが多いため切れ味を伸ばすスキルが不要だったりもする。

 

○回復アイテムを最大限に持ち込む。

     回復薬×10

     回復薬G×10

     ハチミツ 

    マンドラゴラ×10

わたしはこれらは常に持ち込んでいる。アイテムボックスでアイテムのセットを登録できるので忘れず登録しておこう。

 

○回復に適したスキルをつけよう

     キノコ大好き

     早食い+2

モンハンは下位、上位、G級とストーリー進行と共に難易度が上がっていくのだが、上位の終盤には上記のスキル構成の装備が作れるはずだ。ティガレックス、イビルジョーの装備がオススメだ。キノコ大好きは体力を全回復するマンドラゴラを使えるようになり、早食いは回復アイテムの使用速度が1・8倍にスピードアップする。

なお、モンハン攻略のサイトを見ると匠、超改心、達人 などの攻撃力を高める方向でのスキル構成が載っているのだが、これは「死ぬ前に倒す」のコンセプトなのでこの記事では扱わない。あくまで「死ななきゃいつか倒せる」がコンセプトなのだ。

 

なおわたしの今の基本構成はこちら。

耐震、風圧などモンスターごとに対策が必要にならない限りこれで行くことが多い。

f:id:wagahaiblog:20170528094952j:image

 

○下画面タッチパネルを活用しよう

3DSのモンハンダブルクロスでは下画面タッチパネルをカスタマイズできる。

このタッチパネルの中でアイテム使用ショートカットがものすごく有用だ。

モンハンはLボタンを押しながらYボタンとAボタンでアイテムをスクロールさせて選び、Yボタンでアイテム使用という面倒な操作だが、これが焦っている時だとなかなかうまくいかない。アニメ ドラえもんの「あれでもない、これでもない」とひみつ道具を選びながらパニックになる感じと言えば分かりやすいだろうか。

しかし、下画面タッチパネルにアイテム使用のショートカットを設定すると、一発で狙ったアイテムを使用できる。もちろん片手剣では、納刀せずにタッチ操作でアイテムが使えるのだ。……恵まれ過ぎだろう。

この機能を用いれば、ちょっとしたモンスターの攻撃の空振りにタッチ操作で回復を差し込める。

 

なおこちらがわたしの下画面タッチパネル。

 f:id:wagahaiblog:20170528094427j:image

左から順に

・切れ味が落ちた時の砥石

・大ピンチ用のマンドラゴラ

・モンスターごとに変化させるアイテム

・小ピンチ用の回復薬G

となっている。

 

アイテムショートカットの編集操作が難しいので以下に写真付きで載せる。

 

スタートボタンを押すと下画面が以下のように変わる。

f:id:wagahaiblog:20170528100307j:image

 

 パネルカスタマイズをタッチで以下の画面に遷移

f:id:wagahaiblog:20170528100320j:image

 ここでYボタンを押すと詳細設定に画面遷移する。

 f:id:wagahaiblog:20170528100334j:image

 詳細設定でアイテム登録【大】を選んだら遷移先の画面をタッチアンドスライド操作でアイテム登録を編集できる。下に手持ちアイテムが出るのでアイテム登録ベースにドラッグするのだ。

f:id:wagahaiblog:20170528100343j:image

 

モンハンはモンスターの隙を狙いながら攻撃していき、モンスターからの攻撃食らわないようにダメージを与えて行くゲームだ。

とはいえ、モンスターは強いので、ちょくちょく攻撃を食らってしまう。しかし、上記全てを行なっている場合、すぐに回復が可能だ。そして回復アイテムはものすごい在庫がある。

「負ける要素がない」わけではないが、すぐには負けない。ダメージを受けながら戦ううちに敵の動きを覚えてくる。最初は回復アイテムがギリギリになるが、慣れてくると回復薬Gが余るようになってくる。(わたしは慣れてないと20回くらい回復する。慣れてくると8回前後になる。とはいえ回復の隙は大きいので早食いスキルは欠かせない)

 

これ以外にも、敵モンスターに合わせたアイテムの持ち込みなど、戦闘前からの対策が沢山ある。反射神経以外でなんとかすることができるゲームでもあるので、シリーズの懐の深さを感じる。

そのほかの細かいテクニックについては、また今度ということで一旦筆を置こう。

 

今回のモンスターハンターダブルクロスはシステムの集大成となっており、シリーズの中でも不評だった要素は取りさられていて、大変面白い。全部乗せラーメンのような節操の無さはあるが、今作を自分のプレイする最後のモンスターハンターとしてもよいだけの仕上がりになっていると思う。

オススメです。

モンスターハンターダブルクロス - 3DS

 

ソロで遊んでばかりだと言ったそばからアレですが、フレンド募集です。

3DSフレンドコード:3523-2020-1743

双方からリクエストする必要があるので、登録されたい方はコメントいただけると助かります。

それではよいモンハンライフを!

 

マインドマップを学んだのだ

すっかり更新が止まってしまった。

私事でドタバタしているうちにあっという間に時間が過ぎてしまった。

今は落ち着いてきたので、日々新作のゼルダの伝説を遊んでのんびり過ごしている。傍らのノリノリの7歳児もハイラルの広大さに感動しており、春休みというのに旅行にも行けてないが、彼とわたしはもう長いこと旅をしているような錯覚すらある。

 

さて話は変わるがこういう本を読んだのだ。

新版 ザ・マインドマップ(R)

というわけで読み終わったのでマインドマップについて語る。

「一冊読んだだけで語るのか?」と思った方は自分で買って読んでもよいだろう。

人は考え方を理解した瞬間から賢くなる生き物なのだ。賢さと同時に新たな盲点を得ていることを忘れなければ、大きく道を誤ることはないだろう。

前置きが長くなったがはじめます。

 

マインドマップとは何か

マインドマップはメモ術である。

キーワードとキーワード間のリンクを記載したメモである。緩い階層構造も持たせられる。

要するにこれだけだ。

 

 

マインドマップは何がすごいの?

あまりすごくない。というと終わってしまうのですごいところを書く。

一つの物事には多面的な要素がある。

通常のメモの書き方では、文脈に関係ない要素は書かれないがマインドマップでは書かれる。

ゴールまでの道を整理せずに書き始めることができる。あとキーワードしか書かないから書くのが超早い。

行き当たりばったりで始められて、そして書くのが早い。読む時には全体を一望できる。

ここは素直にすごい。

 

脳のシナプスの構造と似ているからすごいとか、色を使うから脳への刺激になるとかはちょっとニセ科学感があってわたしには受け付けにくかった。本を読みながら「それをすごいと思ってることがすごいわ」とか、意地悪な気持ちが湧いてくることもあったが自分で買った本を悪く言うのもなんなので言わない。(言ってる)

 

 

何に使うといいの?

1.アイディア出しの時のメモ

2.何かを分析するためのメモ

3.話し合いの内容をまとめたり共有するためのメモ

に使うといい。

 

 

どうやって書くの?

1.まず中央にテーマを書く。

2.次に中央から伸びる枝を書き、その枝の上にテーマから派生するキーワードを書く。

3.2で書いたキーワードから派生するキーワードを枝に繋げるように書く。

 

以降2と3を繰り返し。

公式本によるとキーワードをイラストにしたり枝ごとに色を分けると良いとのことだが、わたしはそこはパスした。

意見と事実を分けるため意見は青、事実は黒など文字色を変えることは検討している。

 

以下いくつか実例。

 マインドマップの画像+何を書いたのかの説明。

 

マインドマップ自体を説明したマインドマップ

f:id:wagahaiblog:20170403200253j:image

本に書いてあったことの模写。

色の要素は抜いてある。

 

これは前回書いた小説のマインドマップ

f:id:wagahaiblog:20170403200620j:image

当初はゴーストとかそんなタイトルだった。

 

 

次は小説の面白さにはどんなものがあるだろうか考えた時のマインドマップ

f:id:wagahaiblog:20170403200858j:image

 一度思いつくものを書き終えた後で、自分の得意、苦手なものをあとから○×つけている。なおちょっとでも難しい漢字はカタカナにしてスピードアップしている。逆転裁判方式である。

なるほどくんの技を借りているのだ。

 

 

この2枚は面白さとは何かを考えたマインドマップ

  f:id:wagahaiblog:20170403201239j:image

 f:id:wagahaiblog:20170403201326j:image

 

面白さ2のほうでより具体的になっていった。

 

 これは人と話してる時に「ぼくらの」という漫画の素晴しさについて考えたマインドマップ

f:id:wagahaiblog:20170403201412j:image

 

「ぼくらの」はものすごく名作なので是非お手にとっていただければ。

ぼくらの 1 (IKKI COMIX)

 

 

いかがだっただろうか。

世界を時間の切り口で区切ったのが年表で、空間の切り口で記述したものが地図だ。マインドマップは何の断面なのだろうということを考えながら本を読み、自分でもいくつか書いてみた。マインドマップはその時考えたことの断面が残るんだな、というのが個人的な感想。

後で見返しても当時の考えを辿るのは比較的容易だった。(ここにだした全てのマップを説明できる)

 

 

 人と映画を見た後のカフェや、漫画を読んだ後の余韻の時間に。

あるいはちょっと社会的なテーマを人と話す時に。

簡単な記念写真を残すくらいの気軽さで。

書いていこう思いました。

終わり。

 

 

思考的跳躍

まがレールというものをご存知だろうか。

プラレール まがレール R-23

プラレールのパーツである。

使っているところはこんな感じ。

f:id:wagahaiblog:20170221091720j:image

蛇腹のような構造になっていて、ほぼ無段階に自由なレイアウトを作ることができる。

プラレールでレールを作ってみるとわかるのだが、線路の最後の円を繋げるのが案外難しいのだ。

これと

プラレール 直線レール(4本入) R-01

プラレール 曲線レール(4本入) R-03

 これを使って複雑な図形を書いて円を閉じろという数学の試験が出たら、シンプルな形の回答ばかりになるのではないだろうか。

そこで出てくるのがまがレールである。

まがレールを間に入れることで、ある程度の歪みも解消してレールを繋ぐことができるのだ。

例えるなら、コンパスと定規を使って幾何学模様を書いたあとで、一番最後にフリーハンドの線で無理やり繋ぐような、そんなことができる。

要はまがレールとはつじつま合わせからの解放が具象化した商品なのだ。クリエイティブの苦労とつじつま合わせの苦労を分離する商品なのだ。ああなんと素晴らしい。うっとりする。

みなさんおひとつどうぞ。

2個も3個もあるときっと幸せも2倍3倍だ。

 

というわけでここから発想の飛躍を行う。

最近創作活動を行なっていることもあり、「物語のつじつま合わせって面白さに寄与するのではなく、つまらなくなさにしか寄与しないよなー、その割に大変だよな」ということを考えていた。そしてわたしの目の前には子どもが遊ぶまがレールが。

この二つが繋がってスパークを起こし、こんな文章を書いている。

「物語のつじつまって、物理的なつじつまをたとえ話として使ってるだけでまったく別の概念なんじゃないの?」という冷静な声も自分では認識している。

それでも敢えてここは飛躍を続けてみたい。

 

思考テーマは「物語上のまがレールは存在しうるか?」だ。

今回着地点を決めず締め切りだけ設けて書く。2/23までこの記事をチクチク更新して物語上のまがレールを探し出す予定です。

 

仮説1

(注意:タイタニックと続・猿の惑星のネタバレが含まれます)

 

タイタニックなどの沈没船を舞台にしている物語は、過程に何かあっても「色々あって生き残ったorダメだった」に収斂されるから物語上のまがレールではないか?

続・猿の惑星の「やけくそでコバルト爆弾を爆破して、地球ごと消滅」なども物語上のまがレールである。登場人物が全て消えればおしまい。余談だけどこの続・猿の惑星にはさらに続編がある。あるが、そのことはここでは語らない。自分で調べて楽しんでくれると嬉しい。

 

 仮説2

 歴史モノ伝記モノなど結末がどうなるかを教養として皆が知っている物語も、ある意味物語上のまがレールと言えないか。この場合、結末に物語の面白さを込めるのではなく、結末までのドラマやエピソードに面白さを用意する必要がある。(あの悪役も色々あって悪くなった、英雄の活躍の裏で色々と苦労があったなど)

スターウォーズのエピソード1、2、3もこれにあたるだろうし、最新作のローグワンもこれだ。

‥‥‥あんまり、面白くない例だが‥‥いや、よそう。

 

仮説3

最初に戻るラスト。

注意:小説ドグラマグラ、映画ロッキー3のネタバレが含まれます。

 

スタート地点、またはこれからの展開が予想できるところで終える方式。ドグラマグラロッキー3など素晴らしい作品も多い。

ロッキー3のお互いのパンチが交錯するところで画面が止まるラストなどは、もうそれだけで泣いてしまうくらい好きだが、これはわたしの趣味が色濃く出ているだけだろう。また、スタート地点に戻すまでは自力でやらねばならないので、正確には物語上のまがレールではない。

 

仮説4

大いなる敵。第三者の敵など。

注意:映画バットマンvsスーパーマンのネタバレが含まれます。

 

バットマンvsスーパーマンはスーパーマンを自然災害として扱い、人間がそれを退治できるかという話で、前半は両者の確執が描かれるが、後半に別の敵が現れて共闘することで違う話にシフトした。おそらくどんな話でも宇宙人が攻めてくれば別の話にシフトし、最後に大統領演説が入れば話は終わる。子育てママの奮闘物語でも都会に憧れる田舎娘の話でも。

 

仮説5

超常的な味方。ドラエもんなど。

これはテレビシリーズなどの下敷きがあり、ドラえもんが超常的であることを見る人皆が知ってるがゆえの裏技。ファンフィクションを書く気は無いので、こちらは検討しない。

余談だけどドラえもん出木杉くんの家に来ていたら、デスノートのライトくん以上のことをやってしまっただろう。やりすぎくんである。

 

総論

仮説5まで書いたところで、どれもロクな話にならなそうなものしか思い浮かばないことがわかってきた。どれも苦労をかけて作った部分も含めて台無しにしてしまうようなアイディアばかりだ。なにに起因しているかはもうしばらく考える。

そして考えた結果、それまでの話よりも大きいものを入れることで解決するやり方がまずいのではないかと思い至った。

また、大きい話自体は借り物&出来合いのため、見たことのあるものにしかなっていないのだ。

物語の魅力の一つに「この話はどこに落ち着けるのだろう。どこまで連れて行かれるのだろう」というところがあるが、ここが完全に失われてしまうのだ。

出来合いの話95と普通話5ぐらいの割合で物語を作ったら、それは新たに作る意味がないだろう(製作会社の手を休めないとか、そういう副次的なことは置いとくことにする)

「大きさ5ぐらいのオリジナル部分を見てくれ!」という動機では、読む側も書く側も95の茶番に付き合うのは厳しい。

どうせフィクションはウソなのだから。

書き手から「この部分はお約束ですので〜」なんてやられたら、読み手も茶番部分は読み飛ばす。

というわけで、話に適切な、短い接合部が必要なのだと気付いた。

 

ここまで書いて、前回の自分の小説では、文脈のつなぎを強引に変えることができる主人公を用意して乗り切った。「○○について説明する」などの言い方ができるキャラクターで大変書きやすかった。

読者の読み飛ばしならぬ、書き飛ばしという感じか。正確に文脈が繋がらなくても会話は成立することを利用しているのだろう。

 

散らかって来ているので一旦この話はおしまい。次回に、超うさんくさいことで評判のマインドマップにまとめます。