心のタガはどういう時に外れるのか?
そのことを日々考えてやまないわたしだが、先日素晴らしい事例を見かけた。
訪れたのは名古屋に存在するレゴランド。
その海賊の海岸に、それはあった。
このゲートを潜ると無法者の棲家である。心して進まれよ。
そこにあるアトラクションは、レゴの海賊のアジトシリーズをモチーフとしたものである。わたしは少年の頃レゴのCMに憧れたものだった。『南海の勇者』シリーズのCMを覚えている方もおられるのではないか。
アトラクションの内容としてはこのような船に乗る、ライドアトラクションとなる。
やや変わったギミックはこちらの写真
手回し式の水鉄砲である。勢いよく回すと、勢いよく水が出る。
そしてこのアトラクションの最大のポイントを示す写真はこちら。
なんと、水鉄砲がアトラクションの周りの岸にも設置されており、まったくの見ず知らずの他人から水鉄砲を撃たれ、そして撃ち返せるのだ!
完全に欲望のタガが外れたこどもなどは、容赦なく船の乗員を狙う。相手の顔面に張り付くようなエイム力を見せる少年さえいた。
わたしなどはよそ見中に顔面に水をくらい、岸の向こうから変顔で見ず知らずのこどもに煽られるという、現代日本とは思えない体験をした。
他にも、この辺りの岸は歩いているだけでも、水鉄砲の射線に入ると容赦なく引き金を引くスナイパーキッズがいる。
アトラクションを横目にすり抜けるだけでも、手傷を覚悟しなければならない危険なエリアなのだ。
なお、知らない大人に水をかけるのにビビっちまう弱虫ヤローのため、写真のような役物も用意されている。
が、こっちに水をかける時のハンドルの回転は緩い。
何度も船に乗る猛者ともなると、役物には目もくれず、崖のスナイパーを返り討ちにしようとハンドルを急回転させる。
この崖でタガを外させる要素は何なのか。
こどもの笑顔?
嬌声?
「やってもいい」という暗黙の了解?
おそらくその全てがタガを消し去る要素であり、どれが欠けても同じ結果にはならなかったろう。
このエリアでは時間はあっという間に過ぎる。
知らないこどもに水をかけられたり、かけたりしているうちに、わたしは水をかけないおじさんを、水をかけるおじさんに進化させる方法を編み出した。
コース序盤でギリギリ届かない水を撃ち、撃ち返されてリアクションすることである。一度成功体験を積むと、人は無情の戦士となり、射程に入るものは全て撃ち尽くす戦争の鬼となる。
誘い、敗れることで人のタガを外す方法を偶然見つけてしまったのだ。
このことは決して悪用することは許されない、悪魔の知恵である。