58.妖怪ウォッチの思い出を書いておく

妖怪ウォッチ4を遊んでいる。

2019/08/01にクリアーしました。

 

ストーリーについてはいくつか問題のあるものであった。最大の問題は映画やアニメシリーズで出てきたキャラクタが説明不足で次々と出てくるところだろう。一応、シリーズの主人公であるケータくんと初めて会うタイミングで若干の説明があるのだが「ぼくたちは妖怪探偵団だ。少し前に世界を救ったんだけど、さっき助けてくれた妖怪はその時お世話になった妖怪です」くらいの超雑な説明なのである。

 

おそらく、映画『Avengers』のようなことをやりたかったのだろうと思われる。「あの!アニメ2期の主人公が!映画のアイツらが!ついに新作ゲームで全員集合して遊べる」という企画自体は悪くなかったように思う。『Avengers』にもそれほど知名度のないヒーローは居た。そういうヨソの成功も、企画の後押しになったことだろう。だが『Avengers』はキャラの説明がものすごく上手かったことを見落としていたのではないか。元々妖怪ウォッチの主人公たちにそれほどの個性がないこともあっただろうが。(余談だが、映画『Avengers』では各キャラクターの個性は個々の映画より濃いめに調整してあったと思う。キャプテンアメリカは真面目バカ、アイアンマンは皮肉ばかり、とか)

まぁ、そんなわけで知らない人が多目の飲み会に参加してるような、独特の楽しさがあるゲームとなった。とは言え、ラスボスとの因縁から決着まではゲーム内で描かれるので最初につまづかなければ大丈夫。(「知らないヤツと一緒に行動して、気づいたら友だちになってる」という演出になってるか、というとさすがに少し苦しい)

 

妖怪ウォッチでしか味わえない楽しさは、現代日本を題材にしたオープンワールド感だろう。(若干ノスタルジー寄り)

マップはあまり広くないものの、小学校のグラウンド、大きな川の堤防沿いの道、商店街のゴミゴミ感、ちょっと貧しいエリアのトタン壁の家、密集しておいてあるエアコンの室外機、街角で立ち話している女性達、整頓されたコンビニの商品棚など、日本の風景がオープンワールド化されているのにはノスタルジーや架空の郷土愛を刺激する独特の楽しさがある。「是非このゲームを外国人に遊んでもらいたい」という謎の郷土愛がムクムクと育つのを感じる。個人的には妖怪ウォッチは和製GTAのような存在だと思っている。GTAと比べるとチープなところもあるかも知れないが、「どっちの町に住みたい?」と言えばこちらだろう。

 

今作はハードが代わりグラフィックの向上に伴って、「便器に座る」「冷蔵庫を開け閉めする」「登り棒に登る」「リモコンでテレビをつける」などのゲーム的には超意味ない行動ができなくなっているのが残念ではあるがそこはまぁ仕方ない。また、今作はクロスオーバーをテーマにしているため、「30年後の未来世界」、「30年以上前の過去世界」、「妖怪の住む世界」、など様々な世界に行くことができる。その都度風景の変化があるのが楽しい。(言い忘れたがわたしは近未来マニアなので、近未来と書かれたら気になってしまう癖がある。妖怪ウォッチの雰囲気から、ディストピア未来にはしないだろうと思い、どんな未来観を見せてくれるのか気になったのは購入の動機として大きかった)

 

文字ばかりではソフトの魅力が伝わりにくいので写真とコメントを載せておく。

 

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現代の川沿い

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未来の川沿い。未来は現代のお金持ちエリアと大体同じ。「みんなちょっとづつ豊かになったけどあんまり変わってない」という未来観。

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未来世界の一軒家。

カッコいい。

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未来世界主人公の弟の部屋。

勉強机があって少し階段を登ったクローゼット前の空間が布団になっていて面白い部屋になっている。自室も同じなので未来世界の流行なのだろう。

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未来世界のリビング

現代との違いは階段にスキマがあってゴージャス感あるところか。

でもこの階段だとハリーポッターとか下宿させられませんね。(ハリーポッターは階段下のクローゼットルームで寝起きしてる)

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未来のキッチン

ちょっと使いづらい気がする。

火の位置はカウンターの反対の方がよいか?

 

 

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現代のちょっと良い目のマンション。働いてお金を貯めてライブに行くのが生きがいのカッコいいオネーサンがウロウロしている。

 

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現代のダウンタウンエリア。ドブ板が外れてるのは危ないので役所に連絡すべし。

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エアコンが少ない家に住んでるおじさん。悪い人ではないがあまりよい暮らしぶりではないことが伺える。

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物干し竿と洗濯物。

こういう日本の風景を色んな国の人に見てもらった時の感想が聞きたい。子どもが一人で外出すると犯罪になる国(アメリカなど)ではどのように受け止められるのか。

 

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未来世界の公園の遊具。

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リッチなすべり台である。すべると女の子になってしまうわけではない。(適当なタイミングで撮った写真を使ってブログを書いてる)

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未来でも現役なジャングルジムドーム型。

四角いジャングルジムは迷路と勘違いして鬼ごっこなどで走り回るヤツが頭をぶつけるため、未来ではこの形に規格が統一されていったと思われる。

 

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未来世界でのターザンロープボール付き。

これは我が家の近所の公園にもある。

「ボールにおしりで乗らずに靴で立って乗るヤツが泥だらけにしてしまう問題」は未来でも解決されなそう。「ボールに靴で乗ったら死刑」って書いてあるソリューションが施行される日も近い。

 

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未来世界のオシャレな遊歩道的遊具。

斜めの板を走ってコーナリングを全力疾走する楽しさが味わえる。中央はトランポリン的な山。残念ながらここでジャンプしても高く飛べるわけではない。こういう細部は作り込んで欲しかった。

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現代の幼稚園の砂場横の子どもとお絵かき。

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現代の公園の月山トンネル。

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小学校のグラウンドのすべり台と砂場。

砂場で小さい子がお城やトンネルを作ると、上級生がすべり台で降りてきて破壊されるデザインになっている。幼い頃から社会システムに疑問を持たせるための現代アートだ。

 

 

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これは未来世界の神社の住居部分。

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未来世界主人公の一人が神社の倅ですごいいい家に住んでいる。家に池と橋がある生活‥‥夕日も美しい。

 

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この神社の倅は子ども部屋ではなく、子どもハウス(プレハブ小屋)を与えられておる! 仲間達を集めて溜まり場にしていてとてもとても羨ましい。部屋の中の一画は土間でガレージですよ。コイツもう探偵団なんかやらなくても人生優勝だよ‥‥

 

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現代の神社。

そういえば虫取り、魚釣りなどの収集ミニゲームはない。妖怪ウォッチ1から3まではあったのだが。わたしは収集は苦手なのでやらないが、夏休み感をデジタルで味わいたかった人には残念だろう。

 

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過去の世界の神社。

過去世界の季節は冬。

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過去世界の商店街

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過去世界の街角。文字通り井戸端会議をしている。

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過去世界ではオート三輪が車として走っている。カーブでタイヤがどう動くか気になって走って追いかけた。(マップの都合でカーブしなかった)

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冒険の途中でデビルマンのような凄惨な敵から女の子を助ける。助けるとお話が進み、女の子は後ろをついてくるようになった。

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子どもなので女の子の歩調を考えず走ってしまうケータくん。

 

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子どもなので歩調を考えず、自転車にも乗ってしまうケータくん。

 

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立ち漕ぎでぶっちぎってしまうケータくん。

 

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フィールドではジャンプできるのでちょっとした段差は飛び越えられてサクサク進める。

また、クエストガイドを起動すればオートで目的地まで移動してくれるのも快適だ。移動しながら風景を眺めたり、自転車をかっ飛ばして豆粒のようになっていく女の子を眺めることもできる。

 

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妖怪の住む世界は中国っぽさが漂う。

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妖魔界のダウンタウンは香港っぽさも漂う。わたしは香港に行ったことないが、川崎のゲームセンターで香港気分を知ってるので、これは香港風です、と断言しておく。

 

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冒頭で『Avengers』と比較してキャラ説明が上手くない、と言ったが、この人くらいの知名度なら、説明なくてもテンションあがりますね。

(手のひら返し)

 

全編ギャグ多めだが、子どもは置いてけぼりでオトナだけが喜んでるようなものも多い。

だが、それが妖怪ウォッチの味なのだ。

子どもは今は分からなくていい、というスタンスなのだ。

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『Avengers』出たよ‥

 

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倒したらエンドゲーム‥‥

 

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May the force be with you.

 

ゲームシステム的なところに目を向ければ、戦闘はオートターン制バトルからアクションに変わったとか、対人戦がなくなったことでレベル上げの意味が変わったこととか、RPGなのに育てるキャラがどんどん増えることの是非とか、ポケモンのように全キャラ戦略次第で戦えるようになるわけではなく、ランクによるキャラ差が明確であるとか、ゲームとしてワキが甘いところはたくさんあるゲームだと思うのだけど、このゲームでしか味わえない楽しさはしっかりある。

 

主人公が小学生なので子どもっぽいサブイベントも多い。しかし、子どもであるからこそ、困難をクリアするチカラが「友だちになること」というのに説得力があると思う。妖怪ウォッチは1からずっと、種族の違い、時代の違い、立場の違い、それら全てを越えて「友だちになること」の素晴らしさを描いた作品だと思えば少々の欠点にも目をつぶろうという気になるものだ。

 

ゲームの舞台が夏休みということもあり、夏に遊ぶと気分が盛り上がるだろう。ディズニーランドでアトラクションに乗らずに楽しめるような人に、オススメです。

 

そうそう。

ところでわたしの夢の一つは、文明崩壊後の砂漠でこういう現代の記憶と結びついたゲームを遊んで、もう戻らない世界の眩しさに涙することなのだが、(こういうしょうもない夢は他にもいっぱいある)このゲームの風景はそういう時に遊ぶのにぴったりだと思う。目に映る全てが眩しく、切ないことだと思うと、もうその妄想だけで涙が出てくる。

 

そんなわけで妖怪ウォッチ4は、夏休みか、文明崩壊後に遊ぶのがおススメです。