これを見て欲しい。
一見楽器である。
通常、この形状の楽器をポンゴと呼ぶ。
しかしこの商品にはタルコンガという名前が付いている。したがってポンゴの形だが、コンガなのだ。(ややこしい)
そしてもはや隠す気もないが、これはゲームコントローラなのだ。
なるほど、今回は音ゲーの紹介なのかと思ったあなたは甘い。
今回紹介するゲームの画面をお見せしよう。
いかがだろうか。
そうこのゲームはいわゆる横スクロールアクションなのだ。コントローラはコンガなのに。
十字キーなんてものはない。
あるのは左右のコンガとマイクのみ。これでマリオのような横スクロールゲームをしろと言うのか。なんという狂気。正気とは思えない! 最高!
その名も
「ドンキーコング ジャングルビート」という。
ゲームキューブで発売されたため、wiiでもプレイできる。のちに「wiiで遊ぶ ドンキーコング ジャングルビート」というリモコン操作に対応したリメイクが発売されたが、そちらはタルコンガでのプレイに対応していないため注意してほしい。
一見、狂気とも思えるゲームだが、このゲームはあのマリオを作ったことでおなじみの宮本茂さんの指示の下、任天堂東京制作部の初仕事で作られたと聞く。となると初めて任天堂で仕事をした者もいたのではないか。想像するだに震えてしまう。「タルコンガのコントローラで横スクロールアクションを作れ」ゲームの神からこんな無理難題が降りてきたら‥‥。
だが任天堂東京制作部はその無理難題に100億点以上の解答で答えてくれた。
このゲームはものすごく面白い。それこそ、狂喜するほどに。
操作方法を簡単に説明する。
右コンガを叩くと右にコングを移動させ、左コンガを叩くと左にコングを移動させる。(コンガらがってしまっただろうか)
コンガ左右同時押しでジャンプ。
拍手を行うとコンガについているマイクが音に反応して、アクションを行う。
アクションは状況により変化する。
敵の近くならパンチ、バナナの近くならキャッチ。何もないところなら拍手で音波攻撃、といった具合だ。
また、通常のパンチで倒せないような大型の敵の場合はアクション動作で敵に触れることにより、馬乗りになったりできる。
この絵が目の前にあって、手元にはコンガがある。次に何をすればいいかは明白だろう。
コンガを叩くプレイヤーの気分としてはこんな感じである。
この、オラオラ感については他のあらゆるゲームから10馬身くらい突き放したゲームではないだろうか。それだけでこのゲームは語り継ぐに足る価値を持つ。タルだけに。
任天堂らしい難易度調整の絶妙さも忘れてはいけない。
操作に慣れた後半ともなると難易度は上がってくる。ボスに近寄るまでは試行錯誤の連続。近づきさえすればオラオラの処刑タイム。
完全に気分は「ジョジョの奇妙な冒険」の承太郎である。
ジャングルの王者は承太郎だった。
クセの強いビジュアルもだんだんかっこよく感じてくる。
‥‥冷静になってみるとすごい絵面なのだが、このあたりのステージまで進めていると、もうこれがカッコよくてたまらなくなっている。見るだけでニヤニヤが止まらない。完全に頭がやられてしまっているのだ。プレイするたびに偏差値がどんどん下がるゲームなのだ。思い出して記事を書きながらあたまがわるくなってきているのをかんじるようなそうでもないといいきれないこともなきにしもあらず。
なお、あまりに面白いため人に説明しようとして説明書を開いたところ、いきなり以下のようなメッセージが我々の目に飛び込んできた。
「何をしていいのかわかりません」
‥‥お、おう。そうだな。
たしかに目に前にコンガしかなければそう思うよ。うん。
任天堂 計り知れない企業である。
最高。