22.浮力はあればあるだけいい

時期と期間は言わないが、旅行に行ってきたのだった。

クルーズ船に乗り、どんぶらこどんぶらこと。船はどんぶらことは揺れず、従って船酔いにはならずに済んだ。揺れの強さは、「お、今動いたな」程度。船のサイズは3000人近く乗れるので、六本木ヒルズや川崎のラゾーナが海に浮いてるようなものだと思えばいいだろう。(お店はもう少し少ないが、問題ない)

 

クルーズ船の旅がどのようなものかは以下のマンガを読むとなんとなく想像ができると思う。

ここではどこで何をしたかについては書かない。起きたことを順序立てて書き、それを読むことで体験を共有したり再体験することも可能だろうが、このブログはその目的で書かれていない。それに、こういう旅行は実際に自分で行って体験したほうがよい。

 

とても楽しかった。

夢のような時間だった、と言ってよいだろう。

また行きたい。

おトクに楽しむ豪華客船の旅 クルーズはじめました! (単行本)

 

船旅のよいところは、長期間にもかかわらず荷解きと荷造りが1回づつしかないところだ。乗船して荷解きし、ウォークインクローゼットに全てを格納。あとは仮住まいに住むように生活できる。インターネットも繋がらないので仕事も追いかけてこない。

 

船旅のよいところは、おみやげや下船時以外に費用があまりかからないところだ。

わたしは1日目に飲み放題のソフトドリンク券(全日程で40ドル)を購入したが、目立つ費用はこのくらいだった。そしてソフトドリンク券はものすごく役に立ったので、次があっても買うだろう。ソフトドリンクカクテルも無料なのだ。

食事は常時開いている食堂や、プールサイドのピザ屋、アイスクリーム屋、ハンバーガー屋などで無料で手に入る。ディスワンプリーズ。ヒアユーアー。サンキュー。といった具合だ。

 

仕事がなく、食料も全て無料のため奇妙な感覚がある。個人的にはこれがもっとも大きな収穫だった。要は旅の間、お金に価値がなくなるのだ。お金を稼ぐ能力も、仕事をしていないため関係なくなる。こうなると人の魅力とはなんだろうということに考えが行き着く。面白い話をする能力は価値がありそうだが、「面白い」の感覚も今と違ってしまうだろう。美醜の重要度はより強くなりそうだ。いずれにしてもわたしたちは社会に阻害され、守られてもいるのだ。

 

1日中仕事もしないで遊んでいるわけだが、以外と読書をする時間や昼寝をする時間はない。

では何をして過ごすのかというと、わたしの場合はプールだった。プールに浮かび、ピザが焼けるのを見たらピザ屋に行き、プールから見える巨大スクリーンで映画を見る。そうこうしているうちにミュージカルの時間になり、いそいそと着替えて席に着く。戯れにスーツを着て食事をしたり、カジノに顔を出したりする。ティールームでアフタヌーンティーを楽しみ、スコーンやケーキをいただくこともできる。

たとえ世界に伝染病やゾンビが蔓延しても、このように一部の者は生き残り平穏を貪り続けるのだ、という妄想に浸りながら紅茶を飲むのだ。

  

ところで、ここまでできるだけハウツーに相当することを避けて書いてきたが、一つだけ役に立つことを書いておこう。もしクルーズ船に乗ろうと考えている人がいれば、参考にしてほしい。

クルーズ船に必ず持っていくべきものだ。

それはこれ。浮き具である。

TOEI LIGHT(トーエイライト) アームヘルパー 青 B-438B

息を吹き込んで膨らまし、二の腕に装着して浮力を得る。大人用なので 両腕に一つづつつければ女性なら大体足りるだろう。男性でも一つ追加するだけでほぼ十分だ。

子どもがいるなら人数分持っていくべきだし、大人も人数分プラス1で持っていくといいだろう。浮力はあればあっただけよい。

浮力が強いとなんなら水の上で昼寝ができるくらいに安定感がある。肩から上が水面から出るため、寝ていても溺死しないだろう。

ある意味で、静かで涼しいまま安全速度で空を飛んでいるようなものだ。理想的ではないか。

 泳ぎに自信がある方でも持って行ったほうがよい。プールの深さが2メートル程度あったため、わたしはわずかに足がつかず、浮き輪があって助かった。いやーあとほんのちょっとで足がついたのですが。

 

予備の浮き具があれば他人に貸して仲良くなることも容易いだろう。飾りを取っ払ってしまえば、人間の魅力とは、「人に与えることができる能力」のことなのだ。

 

最後に船の写真を一枚だけ。

夜のプールと電線である。

お納め下さい。

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