わたしはニンジャが好きだ。
ニンジャが嫌いな人などこの世にいるのだろうか。いやいない。
いたとすればそれは敵のニンジャが嫌いな人だけである。敵にすれば恐ろしく、味方にすれば頼もしい。まして自分がニンジャとなれるなら最高ではないか。ゲームではそれができるのだ。これが心踊らずにいられようか。
というわけでこの記事ではニンジャの出るゲームについて語っていこうと思う。
はじめにニンジャの魅力をざっくり一言で解説する。
ニンジャの魅力とは、ズルもアリなヒーローであるところだ。もう一言だけ言えば、ズルによって奇跡を体現する存在がニンジャなのだ。魔法とか超能力は無理っぽいけど、ただのズルである忍術(トリック)ならなんとかなるかも、という捨てきれない子どもの夢が詰まっている。
奇跡的な成果を求められるものの、武器として持つのはしょうもないトリックのみであるというオトナの悲哀とロマンも詰まっている。かようにニンジャはオトナにも子どもにもリーチする類まれなる魅力を持っている。
わたしはズルやトリックが好きだ。炎上が怖いのであくまで遵法の精神に則ると断っておくが、ゲームなどではズルを中心に戦略を立てることがあるくらいにズルが好きだ。ズルに拘泥するあまり、すでに破綻した戦略に乗ってしまうことがあるくらいにズルが好きだ。
なぜか。
ゴールへの近道がズルだからである。近道が極端であればズルと呼ばれ、近道がまっとうなら工夫と呼ばれる。また別の視点では、他者の工夫や努力を台無しにしてしまう類の工夫がズルと呼ばれる。
さよう。わたしは工夫も好きである。努力よりは工夫の人だ。工夫よりはズル寄りの人だ。
書いてて悲しくなってきた。
だが良いのだ。わたしは愛する家族のため、働く時間を最小限にしなければならぬ。同僚には助けられるばかりで申し訳なく思うが、これも乱世の定め。
・・・話がそれた。
さて、わたしはニンジャの魅力、本質を「ズルの人だ」と解釈しているところまで語った。
一般に言われているニンジャ好きのイメージとズレているかも知れないので、もう一度整理しておく。
わたしの思う一般的なニンジャのイメージは
・任務に忠実
・掟に厳格
・カネで動く
・なんか変な頭巾かぶってる
・「ニンニン」とか「りんぴょうとうしゃかいじんれつざいぜん」とか言う
といったところだろうか。
そしてここに挙げたことについて、わたしは特に思い入れがない。
もっと言えば、それらはニンジャの社会性を保つためのファッションに過ぎないとさえ思っている。好みがうるさくて申し訳ないが、好みぐらいうるさくしたってよいではないか。嫌いなものについてうるさいほうがよほど迷惑というものだ。
一つの文の中で謝罪と謝罪の撤回を行い、次の文では他のものを批判するような節操のなさだが、わたしからはそんなところだ。
さて、この記事のタイトルはニンジャの出るゲームなのである。
それでは、わたしのおすすめのニンジャゲームを紹介しよう。
■ニンジャハットリくん (ファミリーコンピュータ)
いきなり「ニンニン」じゃねーか! などといきり立たないでほしい。頭巾もかぶっているが、そこに思い入れがないってだけなので、別に好きなところがあれば好きでいいじゃないですか。(いいわけ)
わたしはこのゲームが好きなのだ。好きで何度もプレイしたのだ。エンディングはついぞ知らぬ。当時小学生の身にはこのゲームは難しすぎたのだ。
簡単にゲーム内容を紹介しよう。
右に進んでゴールに向かうゲームである。
‥‥もう少し説明しよう。
このゲームのハットリくんは初期状態では忍術が使えない。微妙な飛距離の手裏剣と、横方向への伸びが少ないジャンプだけが彼の初期装備なのだ。忍術を使うには消費物である巻物を入手する必要がある。
巻物の入手方法は以下の通りだ。
ザコを10体倒すとメカニンジャが現れ、メカニンジャを倒すと巻物が手に入る。
巻物を集めるたびに現在所有していない忍術が一つずつストックされていく。
忍術の有効性については、真面目な攻略サイトを当たってくれたほうがよほど有益なので割愛する。わたしはジャンプボタン連打で上空を飛べるムササビの術などが好きだった。ステージの構成を完全に無視できるバランスブレイカーっぷりが最高なのだ。ムササビの術は手に入れるまでが大変なだけあって、放出に見合うだけの効果がある。
そう。このゲームの攻略のキモは貯蓄なのだ。
話だけ聞くと、全くズルくない。むしろまっとうな努力のようにさえ聞こえる。
しかし実際に遊んでみると印象は変わる。ザコの湧くポイントでの単純作業による貯蓄と、忍術放出、散財によるごり押し侵攻のループ。
遊んでいるのか、遊ぶための準備をしているのか、その境目がわからなくなる。ステージの仕掛けを無視する(要はつまらなくする)ために、単純作業を繰り返していく。次第に単純作業特有の心地よさと、奇妙キテレツなBGMにやられ、疑問は薄れただただ貯蓄をする機械となり果てる。気をつけていたはずがタイムアップ寸前になり、無駄に残機を減らしてしまう。
我らの人生の縮図のようではないか。違うのは貯蓄が全く増えないことくらいである。
面白かった思い出を掘り起こそうとした結果、トラウマのような酩酊を味わうのもまたゲーム日記の良いところだ。
思い出してよかった。
あれはよかった。
わたしの中に何かを残した。
目の前でさらわれた姫を取り返すため、ニンジャがすごく頑張る、というゲーム。
ジャンプ力が特徴的で、セコイアのような高さの樹すら軽々と飛び越えられる。3画面分くらい飛ぶのではないか。この主人公はマブカプに出てもスーパージャンプなしでやっていける。
このゲームはエンディングまでいけた。
2人用でよく兄と遊んだのだが、当時の2人用モードはひとりが遊んで、一機分ミスをしたあとで交代でプレイできるというものだった。
が、なぜそういう裏技があるのかはわからないが、このゲームの恐ろしいところとして、オープニングデモ中に自機が殺されることがあるのだ。まさに全体未聞。空前絶後。
格ゲーで言えば「ラウンドワン・・・ファ KO!」のようなものだ。
兄のプレイを見ながら自分の番が来るのを30分以上待った後、自分の番になった時にオープニングデモの開始と共に敵の投げるかんしゃく玉の音がした時の絶望感。
姫がさらわれ、画面の左手に消えた後、樹上より落ちてくる自機(死亡済み)
これほどの理不尽がゲームで許されるのか。ゲームだから許されるのか。
心を鍛えるゲームなのである。
一度は遊んでみてほしい。
一度は同じ目にあってほしい。
忍び難きを忍ぶ者として。
もはやニンジャではないが、忍ぶ者であり、ズルく立ち回ることを余儀なくされるゲームデザインであるため、最高峰のニンジャゲームと言ってよいだろう。あ、敵にニンジャも出てくる。
「よくわからないけど、超緊迫した状況に1人で潜入して頑張る、でも装備はなにもなし。現地調達が基本だ」というのがメタルギアの基本設計。まるで会社の日々のようではないか。炎上案件から炎上案件に、落下傘部隊として飛び降りる我ら企業戦士の姿と重なる。
茶化す必要もないくらいグッとくるシーンも多く、毎回プレイすると泣いてしまうのだが、このブログではウェットなことを書いても誰も喜ばないであろうから、そこは割愛。
敵スナイパーとのスナイプ合戦も、ミサイルカメラで雑にクリア可能であったりと攻略の幅が広いのも見逃せない。
psアーカイブで配信されているので、未体験の方は是非。
ニンジャの出るゲームは他にも色々と遊んできた。ニンジャコップサイゾーやADKの怪作ワールドヒーローズなど。
思い入れの強いテーマなので、シリーズ化していこうと思う。
思い出す旅はただただ楽しかった。